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zoom RSS 書籍「言ってはいけない 残酷すぎる真実」 は 「ブログに書いてはいけない」 ほど残酷な真実か?

<<   作成日時 : 2016/06/03 04:19   >>

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今よく売れている本の一つに「言ってはならない 残酷すぎる真実(橘玲著、新潮新書、2016年4月20日)」がある。この本が残酷と言っているところは、人の行動や才能は遺伝子で決まり、その後の努力では決定されるものではないとしている点にある。

たとえば、学業の良し悪しは生まれた時に運命付けられており、親が一生懸命に教育を施しても無駄な努力に終わることが多いというものである。私自身のことを考えてみても、中学・高校時代に多くの時間を費やした科目の成績は極めて悪く、授業を受けるだけでほとんど努力をしなかった科目の成績が良かったという、この不都合な事実からも著者の意図するところが実感できる。

この本のエッセンスは、本書のp214より引用した下の表にあるのではと私は感じた。この表の出所は「遺伝マインド --遺伝子が織り成す行動と文化 (安藤寿康著、有斐閣Insight、2011年4月11日)」とある。

氏と育ちで、氏にあたる部分が遺伝率、育ちにあたる部分が環境であるが、環境は共有環境と非共有環境に分かれている。共有環境は家庭内環境、非共有環境は家庭外環境で、たとえば学校や友達など社会生活に相当する部分である。

著者の訴求点は、従来、人は生まれが半分・育ちが半分というが、そうではなくて、人は遺伝子に操られ、生まれでその多くが決定される、というものである。従って、「残酷な真実」と言っているわけである。たしかに、学業成績や論理的推論能力などをみても、家庭内教育ではその能力を伸ばすことができない(共有環境は0点)とあり、これは社会生活により若干伸ばせる程度となっている。才能や発達障害に至ってはそのかなりな部分は遺伝率で決定され、確かにこちらは「残酷な事実」である。

だが、この表からは著者が言っている遺伝子がすべてを決定する「残酷な真実」ではなく、やはり「氏が半分・育ちが半分」と感じられる。努力の余地が残されていると見るのが正しい見方ではなかろうか。

さて、本書は出版から約40日が経過したが、その間に67件の書評がアマゾンに寄せられている。その中より5段階評価で1点と5点のものについて最新のものと最古のものをそれぞれ取り出したのが以下の引用である。1点は「こんなことは従来からよく言われていること。いまさら何を」であり、5点は「日本では言いにくいことを集大成したところに意義がある」というものが多かった。私も、「今まではバラバラであった情報をうまく寄せ集めている」と感じている。

遺伝子で半分が決定されているならば、そのことは事実と受け止め「彼を知り己を知れば百戦殆うからず(孫子)」の精神、すなわち、残りの半分である環境を自らどのように整えていくかが重要となる。そのことを自覚して本書を読めば得るところは大きいのではなかろうか。


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言ってはいけない―残酷すぎる真実―(新潮新書)

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新しい方から1点と5点

5点 優生学 2016年5月24日
橘 玲の「わが闘争」ですね
彼のこれまでも知性、教養の集大成です
IQ250相当の橘 玲による崇高な言葉やデータの数々に感涙しました

1点 立ち読みでの通読で十分 2016年5月21日
購入して本棚のスペースを取るべきものではない。
豆しばが語るような豆知識を、専門書の引用によってインテリっぽい体裁を装っているに過ぎません。
では、筆者からメッセージがあるかと問われれば、「不愉快なことにこそ、語るべき価値がある」と筆者は述べていますが、それ以上に大した筆者の哲学が語られるわけでもなく、非常に薄い。
文章的価値はほぼ☆ゼロですが、一応、日常会話の種になるという実益性はあるので、☆ひとつとしました。


古い方から1点と5点

5点 それでも意義はある。 2016年5月17日
著者の言いたいことはまえがきの「この本に書いていること(現代進化論)は専門家であれば常識として誰でも知っていることだが日本ではこういう当たり前の話を“一般読者”に向けて説くひとがほとんどいないし、もしいたとしても黙殺されてしまう。」の記述に尽きる。オリジナリティがどうのだとか中途半端だとかの批判は百も承知のうえであえてこの本を出す著者の思いに共感する。(続く)

1点 買って損した。「買ってはいけない」ですね。 2016年5月3日
わざわざお金を出して買うほどのの内容でなくガッカリ。こんなどこにでもある噂話程度がベストセラーだなんてすごい騙された感じです。どこかのデータを引っ張ってきて説明してるだけで中身はないです。かなり残念。この方の本は二度と買いません。



紀伊国屋書店より

内容説明

この社会にはきれいごとがあふれている。人間は平等で、努力は報われ、見た目は大した問題ではない―だが、それらは絵空事だ。進化論、遺伝学、脳科学の最新知見から、人気作家が明かす「残酷すぎる真実」。読者諸氏、口に出せない、この不愉快な現実を直視せよ。

目次

1 努力は遺伝に勝てないのか(遺伝にまつわる語られざるタブー;「頭がよくなる」とはどういうことか―知能のタブー;知識社会で勝ち抜く人、最貧困層に堕ちる人;進化がもたらす、残酷なレイプは防げるか;反社会的人間はどのように生まれるか)
2 あまりに残酷な「美貌格差」(「見た目」で人生は決まる―容貌のタブー;あまりに残酷な「美貌格差」;男女平等が妨げる「女性の幸福」について;結婚相手選びとセックスにおける残酷な現実;女性はなぜエクスタシーで叫ぶのか?)
3 子育てや教育は子どもの成長に関係ない(わたしはどのように「わたし」になるのか;親子の語られざる真実;「遺伝子と環境」が引き起こす残酷な真実)






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タイトル (本文) ブログ名/日時
ポリティカル・コレクトネスの落日:言ってはいけない 残酷すぎる真実
言ってはいけない 残酷すぎる真実 (新潮新書)作者: 橘 玲出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/04/15メディア: 新書 橘玲の一昔前の代表作は「お金と人生」をテーマにした作品。集大成は「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方2015 知的人生設計のすすめ」か「臆病者のための億万長者入門 (文春新書)」。 そこから路線変更を初めて、最近の筆者のテーマは遺伝進化論。 本書はその集大成とも言うべきエッセンスを、一番わかりやすく書いている。 本書は誤読されやすい内容でもあるのだが、非常... ...続きを見る
本読みの記録
2017/03/05 22:30

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
「残りの半分である環境を自らどのように整えていくかが重要となる。そのことを自覚して本書を読めば得るところは大きいのではなかろうか。」....自覚する能力も遺伝形質だったりして...

共有環境「ー」の部分が気になりますね。
匿名
2016/06/21 18:33
匿名様

言語知能の「共有環境」は58です。親が日本からの移民で現地の言葉が離せない場合でも、親と一緒に移り住んだ子供は現地の言葉を身に付けないことには仲間に入れてもらえないという現実がある。そこで、必要に迫られて現地の言葉をマスターする。それが共有環境の意味するところと説明されています。
たとえば、チェスが強くなかったらその地方では尊敬もされないし、定食にも就けないという極端な現実があったとすると、チェスにも大きな共有環境点が割り振られることになるのでしょう。
しかし、チェスに関しては現実は全くそのようなことはなく、環境からの影響はほとんどないということで「−」なのだと思います。
アルケミスト
2016/06/24 21:41

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