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zoom RSS 灘校生を東大への橋本武先生は「銀の匙」で勉強の仕方を教えた

<<   作成日時 : 2013/10/15 05:22   >>

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 この9月に101歳で亡くなられた、元灘高の国語の先生、橋本武さんは、灘中学で中勘助の小説「銀の匙(初版1921年)」を3年間かけて読む教育で有名となった。これは、その授業を受けた生徒が、東大に大量入学したためとされるが、それはあくまでも結果論。この3年間の授業によって多感な生徒の心の中にどのような変化が起こったかを検証し、それを教育に活かす必要がある。

 第1に、戦後の情報が規制された時代に、生徒たちにとっては全く未知の世界がそこに開かれたこと。
 第2に、それらを一つずつ生徒自らが調べることにより、探求することの楽しみとその方法論を知ったこと。
 第3に、疑問が生じた時にはすぐに調べ、考え抜いてもわからない時には質問する習慣ができたこと。
 第4に、以上の生活習慣を通して、勉強の仕方、物事を探求する方法を身につけたこと。
 第5に、さらに生徒は主人公「私」になって、人生を生き、日本人の教養を身につけることができたこと。

 他にも副次効果はあると思う。文庫本で200ページ弱を3年間かけて勉強したわけだから、生徒たちはその内容の全てを反芻し、自分のものとすることができたと思う。要は勉強の仕方と学ぶことの楽しみを橋本先生から教わったことになる。広く浅く勉強するのも世の中をわたっていく手立てではあるが、それではいつまでたっても深く掘り下げることはできない。若い時に、たとえ狭い範囲でも、深く掘り下げる経験をすれば、それは長い人生において応用可能な知恵となり、財産となる。MBAでの教育がまさにそうであるように。

 蛇足ではあるが、私の中学・高校時代には暗記力の強い生徒が総じて学年のトップであった。彼らは、数学の公式を覚え、さらに解き方までをも暗記し、それを答案用紙に間違いもなくアウトプットする。一方、理科系の人間は、数学の公式を覚えれず、その導出から始めるから、とても速度では競争にならない。しかし、大学入試のように試験時間が長く、基礎力が確かめられる試験においては、少なくとも数学では理科系の人間が勝つのである。

 同じことが人生にも言えると思う。長い人生においては、定形の問題処理も多いであろうが、始めて出くわす問題には誰もが遭遇したことのない問題が多い。これを問題意識を持って解決していくには、知識のみでは不十分で知恵が必要となってくる。学生時代はこの知恵を身につける時代で、勉強の主力を記憶にのみ回していたのでは、良い大学に入れたとしてもその後の人生を誤る可能性がある。学業秀才の転落である。

 今の子供達にとって、塾通いがどのような意味があるかを今一度問うてみる必要がある。


付録:「銀の匙」の頭の2ページに出てくる漢字を拾い出した。

 煙草 牡丹 弄び 茶箪笥 鼈甲 風鎮 印籠 煎薬 厭かれる 腫物 煉薬 烏犀角 糠袋 小豆 瘡蓋 



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