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zoom RSS 特許事務所に作成依頼した特許に製造物責任は課せられるか?

<<   作成日時 : 2013/10/17 05:29   >>

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 企業における最近の出願は、その多くが特許事務所を介するようになった。原案は企業内で作るにしても、広い範囲で特許が取れるように、専門知識と経験を駆使して出願特許に仕上げるのは特許事務所の仕事である。特許事務所を介した特許出願が、審査請求の後に無事に特許となればなんら問題はないが、特許とならなかった時に、はたしてその特許技術それ自体が特許になるだけの内容ではなかったのか、それとも、特許の構成が悪く、技術内容(新規性と進歩性)を十分に特許庁の審査官に伝えられなかったのかと悩むところである。

 特許になるかならないかの判断は、一般的には特許出願後、5年以上を経てなされる。出願から3年以内にこの出願を特許にしてくださいと審査請求する。特許庁への審査依頼である。特許庁ではそれを2〜3年かけて特許にすべきかどうかを審査する。結果として、特許事務所が本特許出願文書の作成に関わってからその結果が出てくるまでに非常に長い時間を要することになる。この長時間を要するところが、一般の工業製品と異なるところである。

 結果が出て始めてその特許事務所の善し悪しが判断できるとすると、結果が出るまでの5年間に作成依特許をし続けたその他の特許出願については、理屈上は特許事務所のベンチマークがで来ていないままに依頼したことになる。実際には、企業の特許担当者も勉強しているので、実際にはそんな事態は起こらない可能性が大きいが。

 特許事務所の仕事は、顧客の話を聞き、その要望に沿ってできるだけ広く特許の権利を主張できるように、発明の内容を特許明細書に仕上げ出願することである。出来上がった特許明細書は顧客がその内容を確認し、問題なければそれで出願することになる。この段階で出願内容(成果物)については顧客の承認が得られていることになるので、製造物責任は発生しない理屈となる。

 技術の世界は時間との競争の世界でもある。1日でも早く特許を出願したものに特許権が与えられる。依頼者の予期に反して、特許作成に長時間を要する特許事務所があったとすると、これは製造物責任の問題ではなく生産性の問題、納期が守れないということが問題となる。日本の製造業ではQCDといわれ、Q:Quality品質、C:Cost価格あるいは製造原価、D:Delivery納期が重要とされる。この三拍子が揃わなければならない。特許事務所のQCDとは? これは顧客の要望を満たすことである。

 今、日本政府は働き方を従来の労働時間重視型から成果重視型へと転換しようとしている。かつては、同じ仕事をするにしても、能率の悪い人は残業となり、彼あるいは彼女のほうが、能率がよく定時に仕事を終えたものよりも給与を多くもらえたという、本末転倒の時代があった。料理でもそうであるが、手際よく作られたものは概して美味しく、無駄に時間がかかってしまったものにはどこかに問題がある。

 これと同じように、作成に長時間を要し、その結果、一番乗りできずに特許権が得られなかった特許出願についての責任の所在はどこにあるのか? 複数の企業が同じ時期に同じことを考え・特許出願しているものである。特許事務所はこの問題についても責任はとってくれないであろう。特許事務所を選択する目を養うことが企業人には求められている。われわれ庶民がどの病院のどの医者に診てもらうかを選ぶのと同じ理屈である。自由競争においては自然淘汰が当然のように起こるが、自然淘汰には時間を要する。特許事務所に特許作成を依頼する側もしっかりした選択眼を持たなければならないのは当然のことである。

 特許事務所のQCDとは何か。それは顧客の要望を満たすことである。顧客は特許事務所に特許作成を依頼し、特許事務所を通して審査請求し、特許庁の拒絶理由に対しては特許事務所を介して善後策を講じる。この特許の医院である特許事務所を選ぶためのQCD基準は、特許事務所に特許を依頼する私たち自身が持たなければならないのである。


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