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zoom RSS 特許審査官に「うん」と言ってもらえる特許を書くポイントはどこか?

<<   作成日時 : 2013/10/18 05:32   >>

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 いままだ、尖閣諸島と竹島がどこの国の領土であるかを巡る争いが続いている。日中韓の国民がこうあってほしいとの思いが激しくぶつかり、問題解決を難しくしている。第三者機関の仲裁を仰がなければ解決できない問題であるのかもしれない。その第三者も、中国と韓国との関係において何らかの利害関係があるために、積極的にはこの問題に首を突っ込むことは難しそうだ。最後の最後は国連での判定となるのだろうがそこまで行くには遥か彼方だ。

 人の判断が入り込む余地がある問題の解決は難しい。科学的事実を取り扱っているはずの「特許」に関しても残念ながら事情は同じである。そこにも人の考えが強く反映されるからである。人が判断に加わる以上、「科学」が「科学」だけ、あるいは、「技術」が「技術」だけで判断されるとは限らないのが特許の世界である。一昨年の9月19日に一つの特許係争裁判が結審した。

 越後製菓は佐藤食品の「サトウの切り餅」を訴えていた。先に出願(2002年10月)の越後製菓の特許は切り餅の周囲に切り込みを入れることを特徴とし、遅れて出願(2003年7月)の佐藤食品の特許は周囲以外にも上下面にも切り込みを入れることを特徴とした。サトウ食品は切り込を増やしたことにより餅が綺麗に膨れると主張した。地方裁判所では越後製菓の敗訴となったが、高等裁判所では越後製菓が逆転勝訴し8億円の賠償額を勝ち取った。最高裁判所では佐藤食品の上告が棄却され、高等裁判所の判決が確定した。裁判官により勝敗が入れ替わる好例である。

 よく起こる例を示そう。当たり前の事柄が特許として出願され、それが特許となった時、その特許は非常に強い権利を有することなる。ある製品を製造するには工程 A、B、C の3つの工程を経るのが業界の常識であったとする。各社ともにその方法でその製品を製造している。あまりに自明な方法であるので、そのことは公的な資料のどこにも記載されていない。いま、各社が特許戦略で力を入れているのは、各工程 A、B、C のそれぞれをブラッシュアップし、その権利を取得することである。ところが、ある会社が業界で自明であるはずの工程 A+B+C で製品を製造する特許を出願したとする。前例がないことが特許の要件であるので、この出願特許は特許として認められ、その結果、他社はこの製品を製造するために新たな製法を開発する必要に迫られることになる。

 それとは反対に、自信をもって出願した特許が特許として認められない場合も起こる。特許庁の審査官が前例となる文献を示した場合だ。示された文献は出願の発明と全く関係ない場合も多いのであるが、発明者との力関係では審査官が勝ちである。公の力は科学の世界にも及ぶ。考えてみるに、同じ会社の同じ研究所で働いていても、隣の研究者の仕事の素晴らしさが理解できない場合もある。まして、全く技術的バックグラウンドが違う、場合によってはその分野の素人である審査官が短時間で特許の内容を正確に理解するにはかなり無理がある。その結果として、本来特許として認められるべき出願が特許とならないケースが起こり得るということだ。逆に、「良い」特許審査官にあたると、なぜこれが特許なのかといった出願が特許となってしまう。

  「権利」を主張するためには、ます「権利」を主張するに足る事実があること。その事実を利害関係者や第三者機関(特許の場合には審査官)にわかりやすく説明することが大切である。理解してもらえないことにはその「権利」はなかったものとみなされてしまう。さらに、「サトウの切り餅」訴訟でもわかるように、「権利」は一日でも早く主張したものが勝ちである。製法 A+B+C でも示したように、当たり前と自身で思っていることでも他人(特許審査官)にとっては当たり前でないことも多いので、当たり前と思われることがらについても権利の主張は重要である。尖閣諸島と竹島の問題もこの範疇に属している。

 「権利」を主張するに足る事実は、戦略ある活動により生み出される。政治・経済・科学技術において日本が確かな戦略を持ち、海外から再び注目を浴びて日本国民が輝きを取り戻す日が来ると確信している。そのためには、国民の叡智を有機的に結び合わせ、かつ、ベクトルの方向も合わせた活動が求められている。特許の世界についても事情は全く同じである。戦略を持って研究した結果、見出された新たな知見は特許として認められる確率が高くなる。それは、研究目標が明確で、計画に競争戦略が織り込まれ、それに基づく研究の過程での発見・発明には明確な特許性が認められるということである。特許性のある仕事をするには最初に明確な目標ありき、そしてPDCAを通したたゆまぬ努力ということか。戦略をもって成し得た仕事は、そのプロセスが明確であるので、この仕事がいかに特徴的で素晴らしいものであるかを特許中に説得力を持って書き込むこともできる。これならば、特許庁の審査官に「うん」と言ってもらえるのではないだろうか。「拒絶する理由が見いだせませんので特許を許可します」と。


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