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zoom RSS 頭の体操 飽和鎖状炭化水素の異性体の数はいくつ?

<<   作成日時 : 2013/10/20 03:58   >>

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 高校の化学の問題です。ご記憶にある方も。

 まず、化合物の名前から。
 一般式CnH2n+2で表され、n=1の時はCH4、これはメタンです。同様に、
  n=2はC2H6でエタン、n=3はC3H8でプロパン、n=4はC4H10でブタン
 と続きます。記憶は戻ってきましたか?

 この鎖状炭化水素の炭素の数nが与えられた時に、異性体の数はいくつあるでしょう?という問題があります。化学ではポピュラーな問題で、n=7までなら、紙上でなんとか対応できます。出題される範囲もこのあたりまでとなります。炭素数nが8を超えると場合の数が急激に大きくなり、紙上で対応するには難しくなってきます。良くしたもので、こういう問題も数学で扱われていて、数理化学というのだそうです。そしてこの問題は「ポリアの壺の問題」というのだそうです。こちらにその解説がなされていましたが、nが大きくなるに従い、場合の数が急激に大きくなっていることがわかります。その様子は下図中の表として引用いたしました。

 さて、化学者であって数学者ではない私としては、何事も実験で確認。これが基本スタンスです。実際にフラスコを振ることもあれば、頭の中で思考実験をすることもありますが、すべては実験です。今回はすべての場合を紙に書き出すことにします。n=1からn=6、これは意外に簡単です。

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 n=7
 場合の数が増えてきました。絵の数は数学的に予想された9通りとなりました。私としても数え忘れがなかったのでホット一息です。しかしここからが化学の問題。化学には光学異性体という重要な概念があります。右手と左手は形は似ているが、重ね合わせることはできないから、別のものであると考えましょう、という概念です。この概念からすると、構造3と構造5の◎で示した炭素は光学活性炭素となり、光学活性体が存在することになります。これにより異性体の数は一つずつ増えるのでプラス2です。

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 n=8
 いよいよ話が難しくなってきます。
 n=7の場合と同様に数え上げると構造異性体の数は18(上表に示された数と一致しました!)、それに光学異性体の数を考慮することになります。試験でこんな問題は出ることはないと思いますが、場合の数をもれなく数えていく、頭の体操としてはもってこいの問題ではないかと思います。

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 以上、実践(実戦?)を旨とする一化学者が、力づくで問題を解いていく、なんともドロドロとした実況中継でした。この力づくで得られた結果を一般ルールにしていくことにより化学が、そして科学が、進歩を遂げてくることになります。今回のこのケースにおいては数理化学という世界がそれを行っています。なお、引用として挙げた数理化学においても、まだ光学活性についての考慮はされていません。Webを探せば、光学活性をも含む数理化学の世界が見いだせるかもしれません。あるいは、最近は四色問題も解けるほどコンピュータ科学が急速に進展を遂げている時代です。たとえば、モンテカルロシミュレーションにより有り得る構造の数を無限に近く発生させ、その後、何通りの場合の数が含まれるかを確認していくのも手かもしれません。道具は道具として、うまく使いこなしていく、ということです。


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