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<<   作成日時 : 2013/10/21 00:04   >>

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 以下は数年前に私が投稿したものである。シェールガスがまだ話題になっていない時期の投稿であるので、現在とは少し事情は異なるかもしれない。しかし、本質的な部分では何も変化していない。それどころか、人類はますますエネルギー多消費型の文明へとその舵を切ってきている。日本も、原子力発電所の不幸な事故により、発電のための化石燃料の購入費用が年間3兆円増加した。この増加分は間違いなく二酸化炭素の増加に直結している。

 生活の質の向上とエネルギー、そして環境問題。さらに、100年単位で見た資源の枯渇問題。この複雑にとぐろを巻く難問に人類はどう対処していくのだろうか。今を生きる人類に途方もなく大きな課題が突きつけられている。時計の針を逆回転させて原始の世界に戻っていけば?というのは簡単であるが、現実的な話ではない。




資源の枯渇と環境問題の解決に技術士ができることは?

                                               技術士(化学部門) 畑 啓之


 ここ数年、世の中が急に慌ただしくなってきた。京都議定書で取り決めた温室効果ガス削減の目標達成期日がいよいよ来年より始まる。現実はというと、日本でも世界でも、温室効果ガスの排出量は増加して行っている。中国は工業化の進展に伴いエネルギー多消費国の仲間入りをし、国内の石炭や天然ガスだけではエネルギー需要を賄いきれず、石油の輸入国となった。当然、温室効果ガスの排出量は急増した。

 石油の需給関係はタイトとなり、大きく値上がりした。温室効果ガスの地球環境に及ぼす影響については、元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏が映画・書籍の「不都合な真実」の中で、地球上で実際に起こっている気候変動を、映像と数値を交えながら紹介し、大きなインパクトを与えている。一部の科学者の間では、温室効果ガスが地球温暖化の原因物質となっていることの証拠がないことや、地球温暖化そのものが確認されていないことに異論があるようである。この異論が温室効果ガスの排出量削減の努力を阻害していることは否めない。利益至上主義の国家や企業にとっては「好都合な意見」である。

 非常に近い将来に、地球温暖化により氷が融け出しで海水面が大きく上昇し、地球を循環して気候を制御している海流の流れも止まる。ツンドラ中に蓄えられている膨大な量のメタンハイドレートから、重量当たり二酸化炭素の23倍の温室効果を持つメタンが大気中に解き放たれ、温暖化の速度が更に速まる。アル・ゴア氏が述べているように、これはあり得るシナリオである。リスク管理の観点からは、起こり得る重大事象を未然に防ぐ対策が求められる。重大事象が起こることを想定して立てる対策である危機管理については、生じる事象が重大すぎるので私には想像すらできない。

 私たちは子孫に資源を残していく義務がある。石油や金属の可採年数は不思議なことに表面上は大きくは変化していない。その理由としては、@毎年新しい油田や鉱山が見つかっている、A技術の進歩により回収率が向上している、B価格の上昇により低品位の鉱山でも採算が合うようになった、などが挙げられるだろう。しかしながらバージンとしての資源量は着実に減少していく。まさしく「ゆでガエル」現象である。

 金属などの鉱物資源は人類の英知によりリサイクルして使用する道が切り開ける可能性が大きいが、石油などの化石燃料資源は燃やしてしまえばそれまでである。地球が非常に長い時間をかけて蓄えてきた石油を、人類は約2世紀の期間で使い切ろうとしている。後世の歴史家はこの時代をどのように書き記すのであろうか?

 リサイクル可能なエネルギーとして自然エネルギーが注目されている。また、バイオガソリンやバイオディーゼルのように、穀物などから燃料を取り出す試みも商業ベースに乗り、拡大してきている。だが、穀物は食料でもある。エネルギーと食料間で取り合いが生じ、穀物の価格が高騰している。その日の食料にも困る国がある一方で、自動車の燃料とするために穀物からエタノールを製造する国もある。世界はアンバランスである。

 覚えていらっしゃいますか? 少し前には、世界の食糧危機が危惧され、石油から作る食料「石油タンパク」が表舞台に出た。今では、食料を石油代替として用いようとしている。二酸化炭素と水素より炭化水素を製造するためのC1化学も精力的に研究された。今では、「水素社会の実現」を合言葉にメタン、メタノールや石油から水素を作り出すことに躍起となっている。

 世界中で資源の取り合いが生じ、各国間の利害が交錯している。将来の予測が難しく、次の世代への青写真が描ききにくい時代でもある。技術士に何ができるか? 技術士としての良心は?

 個人的には、エネルギー問題について真剣に悩んでいる。進むべき道はなかなか見えてこない。ツンドラには石油に匹敵する400ギガトンのメタンが埋もれている。このメタンを水素と炭素に分解し、その水素はエネルギーとして用い、炭素は後世のために保存する。石油はエネルギーとして燃やしてしまうのではなく、化学製品の原料として温存して行く。これが私の夢である。ピークオイルに向かい、消費至上主義から心の豊かさへとシフトして行く時代がすぐそこに迫っている。



追加情報

メタンを炭素と水素に分解する話
特開平8−133200 連続炭素除去システム 三菱重工
 CH4 → C(個体) + 2H2
1200℃以上で初めて分解、実際には1300℃以上の温度が必要となる。
つまり、この分解を行うためにはかなりのエネルギーが必要となってくる。


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