金の魅力とは。そして、錬金術で金は作り出せるのか?
1910年から今までに産出された金は、究極可採埋蔵量の75%ほどであると言われるが、それでも体積に直すと20m立方に収まる程度である。この希少性と、錆びることなく輝く美しさに人を惹きつける魅力がある。
金はそのままでも用いられるが純金(100%品、12K)は柔らかく傷つきやすい。オリンピック選手が金メダルを噛んでみるのは、メダルに歯型がつけば、それが純金の証明になるから、ということのようだ。時代劇で小判を噛んで本物かを確かめるというのもあった。硬度を持たせるためには他の金属との合金とする。金は他の金属と容易に合金を作り、混ぜる金属の種類により種々の色調を帯びる。この合金を総称してカラーゴールドと言い、イエローゴールド、グリーンゴールド、ピンクゴールド、レッドゴールド、パープルゴールド、ホワイトゴールドなと多彩である。
この魅力ある金を人間の力で作り出せないか。これが錬金術の夢である。
錬金術(Wikipedia)によると、科学的に金を作り出せる可能性があるようである。ただし、コスト的に全く引き合わない。
現代の科学による金の生成
卑金属から貴金属を生成することは、原子物理学の進展により、理論的には不可能ではないとまで言及できるようになった。
核分裂によるもの
錬金術の目的の一つである「金の生成」は、放射性同位体の生成という意味であれば、現在では可能とされている。金よりも原子番号が一つ大きい水銀(原子番号80)に中性子線を照射すれば、原子核崩壊によって水銀が金の同位体に変わる。ただし、十分な量の金を求めるのなら、長い年月と膨大なエネルギーが必要であり、得られる金の時価と比べると金銭的には意味が無いと言える。また生成される金の放射性同位体の半減期は、最長で78時間である。
核融合によるもの
金に限らず、多くの金属原子は、超新星の誕生の過程で起こる核融合によって生成され、その爆発によって宇宙空間に放出された、星の残骸である。そのため、金を核融合で作ることに関していえば、理論上は不可能ではない。ただし金のように質量数が大きい物質を核融合で生成するのに必要な条件(超高圧・超高温)を人為的に発生・制御できる技術は今のところ存在しない。
偽りの金を作る方法
アルキメデスが、王冠には純金ではなく、混ぜ物をした金しか使われていないことを、その比重から見破ったという逸話は有名である。また、このとき、「ユーリカ!」(分かったぞ!)と叫びながら、興奮のあまり服を着るのも忘れて裸で通りに飛び出したというのもまた有名な話である。
比重で純金であるかないかを判定する!これはうまい方法である。だが、もし、同じ比重を持つ安価な金属に純金めっきが施されたならば、そのときその事実を見破ることができるか?これを見破るのはなかなか難しいようである。
金の比重が19.30、安価なタングステンの比重が19.25。金は金色、タングステンは電球のフィラメントでもお馴染みの銀灰色であるが、純金めっきをされてしまうと素人には真偽の判定がほぼ不可能となる。金とタングステンで違いのある物性は、比熱、磁性、電気抵抗、熱伝導率、熱膨張率である。これをうまく測定できれば、現在のアルキメデスとなれることも夢ではない!? 例えば、比熱の違いを利用する方法。調べたい純金と言われるものをある温度に暖め、それを温度の分かった水に漬けて、その最終到達温度が純金として計算した時の温度になるかを確かめる方法などである。これで私も現代のアルキメデスになれるか?ユーリカ!
どの世界にも常に真と偽の騙し合いがある。
参考資料:錬金術(Wikipedia)、金(Wikipedia)、タングステン(Wikipedia)、アルキメデス(Wikipedia)、タングステン価格
なお、タングステンの価格はWO3(Wはタングステンの原子記号)としての価格であるので、WO3 1トンは純タングステン793kgである。
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金はそのままでも用いられるが純金(100%品、12K)は柔らかく傷つきやすい。オリンピック選手が金メダルを噛んでみるのは、メダルに歯型がつけば、それが純金の証明になるから、ということのようだ。時代劇で小判を噛んで本物かを確かめるというのもあった。硬度を持たせるためには他の金属との合金とする。金は他の金属と容易に合金を作り、混ぜる金属の種類により種々の色調を帯びる。この合金を総称してカラーゴールドと言い、イエローゴールド、グリーンゴールド、ピンクゴールド、レッドゴールド、パープルゴールド、ホワイトゴールドなと多彩である。
この魅力ある金を人間の力で作り出せないか。これが錬金術の夢である。
錬金術(Wikipedia)によると、科学的に金を作り出せる可能性があるようである。ただし、コスト的に全く引き合わない。
現代の科学による金の生成
卑金属から貴金属を生成することは、原子物理学の進展により、理論的には不可能ではないとまで言及できるようになった。
核分裂によるもの
錬金術の目的の一つである「金の生成」は、放射性同位体の生成という意味であれば、現在では可能とされている。金よりも原子番号が一つ大きい水銀(原子番号80)に中性子線を照射すれば、原子核崩壊によって水銀が金の同位体に変わる。ただし、十分な量の金を求めるのなら、長い年月と膨大なエネルギーが必要であり、得られる金の時価と比べると金銭的には意味が無いと言える。また生成される金の放射性同位体の半減期は、最長で78時間である。
核融合によるもの
金に限らず、多くの金属原子は、超新星の誕生の過程で起こる核融合によって生成され、その爆発によって宇宙空間に放出された、星の残骸である。そのため、金を核融合で作ることに関していえば、理論上は不可能ではない。ただし金のように質量数が大きい物質を核融合で生成するのに必要な条件(超高圧・超高温)を人為的に発生・制御できる技術は今のところ存在しない。
偽りの金を作る方法
アルキメデスが、王冠には純金ではなく、混ぜ物をした金しか使われていないことを、その比重から見破ったという逸話は有名である。また、このとき、「ユーリカ!」(分かったぞ!)と叫びながら、興奮のあまり服を着るのも忘れて裸で通りに飛び出したというのもまた有名な話である。
比重で純金であるかないかを判定する!これはうまい方法である。だが、もし、同じ比重を持つ安価な金属に純金めっきが施されたならば、そのときその事実を見破ることができるか?これを見破るのはなかなか難しいようである。
金の比重が19.30、安価なタングステンの比重が19.25。金は金色、タングステンは電球のフィラメントでもお馴染みの銀灰色であるが、純金めっきをされてしまうと素人には真偽の判定がほぼ不可能となる。金とタングステンで違いのある物性は、比熱、磁性、電気抵抗、熱伝導率、熱膨張率である。これをうまく測定できれば、現在のアルキメデスとなれることも夢ではない!? 例えば、比熱の違いを利用する方法。調べたい純金と言われるものをある温度に暖め、それを温度の分かった水に漬けて、その最終到達温度が純金として計算した時の温度になるかを確かめる方法などである。これで私も現代のアルキメデスになれるか?ユーリカ!
どの世界にも常に真と偽の騙し合いがある。
参考資料:錬金術(Wikipedia)、金(Wikipedia)、タングステン(Wikipedia)、アルキメデス(Wikipedia)、タングステン価格
なお、タングステンの価格はWO3(Wはタングステンの原子記号)としての価格であるので、WO3 1トンは純タングステン793kgである。
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