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zoom RSS 研究とビッグデータ 化学者は昔からビッグデータを活用していた

<<   作成日時 : 2013/11/04 09:25   >>

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 ビッグデータは、今まではコンピュータ能力に限界が有りとても扱いきれなかった大きなデータを解析し、得られる相関関係をビジネスに応用していくものである。ビッグデータにより、今まではしたくてもできなかったことができるようになったり、事象間に想像もしていなかった相関関係が見出されるなど、ビジネスへの応用の期待も大きい。

 ビッグデータのもうひとつの特徴は、使えるデータはもれなく使う、ということである。この場合には、ビッグデータと言いつつも関連する情報の数としては小さく、結果的としてスモールデータである場合もある。

 化学者は研究するにあたって、今までになされた全ての関連情報を調べあげるのが普通である。多くても数千件というところか。この調査の段階でヌケがあると、研究成果が過去の域からは外へは出ていないケースが生じてくる。この場合、知的財産権、いわゆる特許、で権利を主張することはできなくなるし、場合によっては他社の特許に係争する結果を招く場合もある。化学の研究はこのように命取りとなるような場合と隣あわせであるので、化学者にとってすべての関連情報を精査すること、いわゆるビッグデータは避けて通ることはできない。企業での研究においては勿論であるし、大学での研究においてもプライオリティが問題になるので同様である。

 化学者が研究に取り組む時には、過去の文献、特許、そして関連する書籍を網羅的に調査する。得られた情報を年代別に並べたり、チャートとして図示したりして、これをじっくりと眺めていると、ある瞬間に良いアイデアがひらめく。このひらめいた段階で仕事の70%は完成である。あとはこれを形にしていけば良いだけとなる。一度この仕事の流れを自分のものとすれば、あとはどのような仕事が来たとしても、同様に対処してゆけばよい。

 厳密な論理思考を基礎とする数学や物理学の徒と違い、漠然とした中にひらめきを求めていくのが化学の宿命である。積み木を積み上げるようにはうまくはいかない。経験を積み、方法(化学反応、反応条件)と結果(収率や選択率)の間の相関関係を頭の中で計算できるようになると化学者として一人前である。存在するデータをもれなく使うこと、そして漠然とではあるが、感を用いて成功確率を思い描く。これはビッグデータの相関関係に似ている。ただ、ビッグデータと異なるところは、存在するデータはあくまでも過去のデータであり、研究によりいままでは存在しなかった新たな事実を作り上げなければならないということである。これがまだコンピュータにはできないことであり、人間に残された領域である。これまでは数値化されなかった情報処理を、近い将来コンピュータが数値化して、人間がしたと同様な相関関係のはじき出しをする時代が来るだろう。今年のノーベル化学賞はまさにこの分野である。それがコンピュータのキーボードを叩くだけでできるようになる時代はまさに目の前に来ていると感じられるが、ビッグデータにおけるデータサイエンティストと同じく、化学においても過去の多くのデータより相関関係を見つけ出し、それを新たな製品開発に応用していくのは、やはり人間の持つ叡智である。


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