イグノーベル賞を受賞したワサビ臭利用火災警報器は今?

 ワサビの臭を嗅がせて熟睡している人を目覚めさせる火災警報装置が販売されているとのニュースが2010年1月にあった。その後、この装置がどうなっているか気になったので調べてみることにした。販売元のエアウォーター防災のホームページを見てみたが、その製品は掲載されていない。イグノーベル賞を獲得するほどのユニークな製品といえども、やはり経済原則(需要と供給の関係)で動いているということだろう。少しくらいの価格低下でも需要曲線に大きな変化が現れるとは思えない。ということは、結局、この装置が活躍する場は少ないということで、これはどちらかというと喜ぶべきことか。


2011年1月
 神戸市にあるエア・ウォーター防災が開発したシステム。ワサビ臭は三叉神経を刺激して、熟睡している人を起こす作用がある。実験の結果は上々で被験者が2分半以内に目覚めた。

 ワサビの成分「アリルイソチオシアネート」が入ったスプレー缶よりワサビ臭を噴射することになる。

 昨年四月から発売の一式価格は5万円とすこし高め。2万円程度を目指して改良が進んでいるようだ。


(参考)アリルイソチオシアネート  CH2=CH-CH2-N=C=S
 アリル基(CH2=CH-CH2-)とイソチオシアネート基(-N=C=S)が共に生物に対し強い化学作用を示す。蒸気は(もしその濃度が濃いならば)皮膚ならびに目、気道、肺を非常に強く刺激する。肺炎、肺水腫も起こりうる。火災または強く加熱される場合、分解が起こって青酸(HCN)および二酸化硫黄(SO2)が生じるので、初期濃度の高い時は問題がある。



日経産業新聞 1月5日より引用
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日本経済新聞 2011年9月30日
イグ・ノーベル賞に日本の7人 わさびの香りの火災警報装置

 【ケンブリッジ=共同】ユーモアあふれる科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が29日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で開かれた。わさびのにおいがする気体を噴射して聴覚障害者に火災を知らせる警報装置を開発した田島幸信・香りマーケティング協会理事長(57)、今井真滋賀医科大講師(49)ら日本人7人が化学賞を共同受賞した。

 日本人のイグ・ノーベル賞受賞は5年連続。今回は「火災など緊急時に眠っている人を起こすのに適切な空気中のわさびの濃度発見と、これを利用したわさび警報装置の開発」が授賞対象となり、「非常にユニークかつ実用的」(同賞事務局)と評価された。


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この記事へのコメント

萌音
2014年02月09日 13:28
こんにちは。楽しく読ませてもらいました。このブログを今後も参考にさせてもらいます。ありがとうございました。
畑啓之
2014年02月11日 06:30
訪問いただきありがとうございます。ホームページは今後充実させていく予定ですが、アドレスは
http://www.alchemist.jp
です。こちらもご意見いただければうれしいです。

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