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zoom RSS 国が著作権法を遵守する姿勢を示せなくて、一体全体どうするの?

<<   作成日時 : 2014/01/17 00:04   >>

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 国会図書館の近代デジタルライブラリーで公開の著作権切れの書籍に対して、出版社から公開を停止する旨の要求があり、国会図書館もその要求に従ってWeb上での公開を停止したというニュースである。著作権は執筆者(作家)の死から50年で切れる。その後は誰がその出版物を引用しても公表しても問題になることはない。近代デジタルライブラリーに収められているWeb公開書籍も当然この著作権が切れた書物である。類似のものとして青空文庫がある。

 著作権は執筆者の死から50年と非常に長い。この長さは特許権の出願後20年と比較すると際立って長い。例えば、執筆者がある本を20歳の時に書いたとする。そして100歳で死ぬ。その死後50年は著作権が生き続けるので、この本は執筆から実に130年(100−20+50)の長きに渡り著作権でその権利を守り続けられることになる。このような寿命の長い知的財産権はほかにないであろう。

 特許権であれば特許が切れた途端に他社が同じ方法で商品を製造してもなんら文句が言えない。20年間も国が製造方法を法律で保護してくれたのであるから、文句を言える筋合いではない。いまこの製法で当社は儲かっていますから、他社にその方法での製造はやめるように国に説得してくれるようにお願いするのは筋が違っている。また、もし国が国家プロジェクトでその特許切れの製法を使うとした時に、それは当社のドル箱製法ですから使用しないでくださいなどとはとても言えない。そんなことを言ったら逆に提訴されて、敗訴は間違いなしである。

 今回の話はこれに似ている。国にいま発売中の本は儲かっていますから、同じ本を安く(無料で)出版してもらっては困るのですよ、と言っているわけである。困ったものだ。何が困るかというと、次のケースが考えられる。

1.近代デジタルライブラリーで公開中の書籍で、実際に市販中の書籍については、出版社からWeb公開の中止を要請された時、すでに前例を作ってしまったのでこの要求を飲まざるを得なくなる。
2.少し拡大解釈にはなるが、近代デジタルライブラリーでWeb公開されている書籍を、今からでも出版し販売実績を作ってしまえば1.で挙げたと同じ理屈が通用する。1.ではそもそも法の精神に従わずに非論理な判断を下しているので、この2.も同様の範疇である。
3.著作権が切れた著作は、国民が無料(Free)で閲覧出来る権利を有する。今回の措置はその権利を国が否定するものであるから、国の判断は憲法の精神に抵触する恐れがあると考える。(民間の機関や個人が同様のことをしてもそれは企業や個人の判断であるからそれには問題はないと私は考えるのだが、国がそれをやれば問題ではないだろうか)

著作権法(Wikipedia)の一部を抜き出した。

権利行使

著作権者は、他人に対し、その著作物の利用を許諾することができる(63条1項)。この許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用することができる(63条2項)。また、この許諾に係る著作物を利用する権利は、著作権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない(63条3項)。

この権利がすでに消滅してしまっているということです。

この問題を便宜的に解決する方法として、少し乱暴な考え(思考実験)になりますが、

『大正新脩大蔵経』(全88巻)と『南伝大蔵経』(全70巻)をGoogleBooksが全巻をWebで公開してしまう。
実際にGoogleBooksにはこの書籍は登録され、キーワードによる書籍内検索はできるようです。『大正新脩大蔵経

あるいは、個人所蔵の同書籍をWeb上で公開してしまう方法もあります。

今回のケースは出版社のエゴですから、義憤を持った方がこの挙に出ればおそらくは大喝采を受けることになるでしょう。以上、著作権切れの書籍はみんなの財産であるということの認識をいたしました。



J-Cast 1月16日

著作権切れ書籍データのネット公開停止 出版社側からの抗議に国会図書館が折れる

国立国会図書館が「近代デジタルライブラリー」でインターネットに無料公開していた著作権の切れた書籍が、当分の間、館内での閲覧だけに制限されることになった。

ネット公開について出版社側から抗議があり、国会図書館が検討会議をした結果、「出版事業の維持に直接の影響を与える可能性を現時点では否定できない」として、当面インターネットでの提供を停止する。

国会図書館は、2014年1月7日、「インターネット提供に対する出版社の申出への対応について」という資料を公開した。それによると、出版社から「近代デジタルライブラリー」での公開停止を求められたのは、『大正新脩大蔵経』(全88巻)と『南伝大蔵経』(全70巻)の2種類で、どちらも「仏教学における基本資料」とされる仏教の経典だ。

編者の高楠順次郎氏は1945年に亡くなり、95年には死後50年が経過したことから、すでに著作権は切れている。国会図書館では、『大正新脩大蔵経』をスキャンしたデータのネット公開を2007年7月からスタートし、2013年2月からは『南伝大蔵経』22冊分も提供するようになった。

ところが、これらを刊行する大蔵出版から苦情が出た。2013年6月、大蔵出版の青山賢治社長を含む日本出版者協議会と、大滝則忠国会図書館長らによる面談が開かれた。出版社側の主な主張は、紙の本が現在も刊行中にもかかわらず、原本がネット公開されていることに納得いかないということだった。

無料公開の影響で売上が約3分の1

制度の形骸化では、の声

国会図書館と有識者の見解では、どちらの書籍に関しても著作権保護期間が満了しており、法的問題は生じていない。では一方はネットでの公開再開、もう一方は館内閲覧に限定した判断の根拠は何か。資料では論点の1つとして「商業出版への影響に対する考慮」が挙げられた。

出版社側の要求に対してネットでは、

「商業刊行中でも青空文庫で読める作品はたくさんあるけどねえ」「制度の形骸化じゃないのか。他の知財では考えられない。権利切れの知財で商売しようとして他からでて死ぬなんてのは経営がマヌケなだけじゃん」

など批判的な意見が少なくない。

慶應大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授は、

「著作権フリーコンテンツを巡る公共とビジネスの線引き。制度論よりも悩ましい問題」

とツイートしている。


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2014/03/12 06:13

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
この問題に対して、京都大学時計台記念館で1月24日(金)に、緊急シンポジウム「近デジ大蔵経公開停止・再開問題を通じて人文系学術研究における情報共有の将来を考える」を開催することにいたしました。よければお越し下さい。

http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~nagasaki/daizokyo2014.html
安岡孝一
2014/01/18 19:08
シンポジウムの趣旨と内容を確認致しました。日本は例外のないルール運用が求められると考えます。匙加減で運用が決まるようだと、国際的な信用もなくなります。そして、一番重要なことは、国民が本来受けられるはずの恩恵が受けられなくなる場合も出てきます。シンポジウムで強い提言が打ち出されることを期待いたしています。
畑啓之
2014/01/19 23:07

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