アルケミストは考えた

アクセスカウンタ

zoom RSS 大学院学生が企業での研究で成果が得られるか、お手並み拝見

<<   作成日時 : 2014/01/23 00:23   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

博士号を持っている人の数は非常に多いと思い込んでいたが、下に示されたデータを見てその少なさにびっくりした。博士号の取得する方法には、大学の博士課程を経るもの(コースドクター)と、大学へ提出した論文が認められるもの(論文博士)がある。データはその両者の合計であると考えられるが、理系の博士は人口1万人当たり1人と、信じられない少なさである。

博士号を得るためには、大学を出た後に、修士課程2年、博士課程3年と合計5年間にわたる努力が必要である。特に、理系の場合には新規な成果が得られなければ、博士号を取得することは難しい。博士課程には進んだが、博士号が得られぬままに、博士課程単位取得退学の文字もよく見受ける。これは、博士課程の授業単位だけ全部取得し、研究が未完成で博士論文が完成できず、その状態で博士課程を修了して大学院の学籍から離れてしまうことをいう。

私が学生であった昭和40年代に、博士課程3年間で無事に博士号を得られる人は2人に1人くらいでした。査読付きの英文雑誌に論文が7報掲載されることが一応の目安でしたから、これはかなりの難関です。その頃の博士は大企業へ就職していきました。それと対比して、今の博士は就職では恵まれているとは言えない状況下に置かれています。修士課程・博士課程と奨学金を借りて勉強し、無事に博士号を取得しても就職口がなくポスドクの地位に甘んじなければならない、悲しい運命です。とても1万人に1人の秀でた頭脳の持ち主とは思えない待遇です。

今の日本においては、博士と企業の間でミスマッチが起こっていることがこの大きな原因と考えられます。博士は狭い分野を深く攻めますが(そうしないと博士号など取得できない)、それに対して企業は多くの専門分野を寄せ集めて成果としなければなりません。広い視野を博士に求めているわけです。

かつては(今もそうかもしれませんが)、企業の研究者がテーマを持って大学の門を叩き、そこで教官の指導を受けながら研究開発を実施する方法がよく取られました。大学も、企業の研究者の研究への取り組み方を学生に見せることができ、この研究者に学生を付けて研究者の考え方とスキルを学生教育に利用することもしました。

今回の日本経済新聞の記事は、この逆をしようということです。博士課程の学生が企業に入り込んで研究をし、研究者としての視野を広げることが一番の目的であると読み取れます。しかし、企業の研究者はその道に非常に長く携わってきて知識、知恵、ノウハウを身につけてきたわけですから、これを盗み取るにしても長い時間を要するであろうことは容易に想像できます。また、たとえそれを上手に盗み取ったとしても、それが博士課程の学生の実力となって結実するかは極めて不明です。研究者は、考え成功し、また考え成功する。この成功体験で成長していくものです。安直に盗み取ったものは研究者にとってはただそれだけのものです。

たとえ狭い領域においても自分の頭で考え、それを自分でやってみて、その結果を咀嚼し、喜んだり悲しんだりする。この積み重ねができ、たとえ狭い領域においてもその成功への方法論を自分のものにする。それが、博士課程で与えられる試練であり、この試練を乗り越えてはじめて博士と呼ばれることになります。たとえひとつの狭い領域であってもこの方法論を身につければ、次に新しいテーマが現れた時でも、その方法論が応用できることになります。博士はそのような強みを持った人間であると私は思っています。

そう考えると、博士課程の人材を企業に送り込んだ時、その博士課程の学生は企業で一体何をするのでしょうか?自身のアイデアやヒラメキに従って、企業の従業員を指揮し、仕事を遂行していくのでしょうか。上でも述べましたが、企業の人間が大学にお世話になって学生を指導することはできますが、この逆、すなわち博士課程の学生が企業にお世話になって従業員を指導することはとても考えられません。このあたりの具体的な論議はこれからなされることになるとは思いますが、結果は目に見えるような気もします。私の考えすぎでなければ良いのですが。





日本経済新聞 1月22日

理系人材、産学で育成 12大学が企業に2000人派遣
技術革新力を底上げ

 東京大や京都大など12の大学は、三菱電機や東レなど8社と連携して理系の大学院生を企業の研究開発に参加させる組織を立ち上げる。2万人の大学院生を対象にデータベースをつくり、3年間で計2000人を企業に派遣する。専門分野の垣根を越えた人材を企業で育成し、日本の技術革新の力を底上げする狙い。実質的な採用の道にもなり、理系院生の就職のあり方も多様化する公算が大きい。

画像




博士は何人いるか  2012年6月21日

画像




日本経済新聞 1月22日

理系人材 博士号、日本は少なめ

理系博士の数 

画像



          ブログ一覧に戻る        ホームページ「アルケミストの小部屋」に戻る


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
大学院学生が企業での研究で成果が得られるか、お手並み拝見 アルケミストは考えた/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる