アルケミストは考えた

アクセスカウンタ

zoom RSS 常温核融合発見の発表から25年、研究は今も進行中

<<   作成日時 : 2014/03/01 10:36   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

1989年3月23日に、フライッシュマン(1927−2012)とポンズ(1943−)の「常温核融合」成功の発表があってからもうすぐ四半世紀(25年)が経過する。時の流れは早いものである。

このニュースを聞いた時の衝撃は今でも忘れない。私の専門は有機合成化学で、パラジウムを触媒として用いる水素還元などはよく実施していたので、この還元に用いる水素(H、Hydrogen)を重水素(D、Deuterium)に変え、電流を流すだけで室温で核融合が起こることが事実であったならば、なんと素晴らしい発見であることかと心躍り、また、パラジウムは水素を多く吸蔵することは知られていたが、その性質と核融合を結びつける発想の豊かさに感心したのを覚えている。

さて、それから早いものでもう25年が経とうとしている。1989年からの数年間は、フライッシュマンとポンズが報告した事象の再現実験が成功せず、常温核融合は全くの死に体となった。しかし、それでも、そこに何かがあるであろうと、世界中の科学者(現在は約300人?)が研究を続け、やはり何かがありそうだというところまではわかってきているような印象を受ける。

似非科学という言葉があるが、これは科学のように見えて科学にあらずということで、日本でも一時期は常温核融合がこの範疇に置かれた感があった。それでも、北海道大学の水野忠彦先生は教授になることよりも、自身の信じる道を歩まれ、この「常温核融合」の解明に寄与されてきた。

日本でも、この常温核融合の研究は、決して恵まれた状況にあるとは言えないが、継続している。

常温核融合(Wikipedia)
しかし、2009年8月には神戸大学教授北村晃、大阪大学名誉教授高橋亮人らのグループによる荒田方式の追試実験が国際的な物理学の査読付き学術雑誌である「Physics Letters A」[32]に掲載されるなど、少しずつではあるが著名学会誌に掲載されるケースも増えてきた。企業による研究は、1990年代に多くの日本企業が撤退したものの、その後も研究を継続した三菱重工の岩村康弘グループや、アイシン精機株式会社の子会社である株式会社テクノバの高橋亮人(大阪大学名誉教授)と北村晃(神戸大学教授)のグループ、水素技術応用開発株式会社の水野忠彦(北海道大学)のグループ、2000年代に入ってから新たに参入した豊田中央研究所のグループなど、一部の企業では現在も研究を継続している。

これらの研究で得られた研究成果も論文上に現れるようになった。

J-Stageによる論文検索   検索のキーワードは「氏名 常温 核融合」とした。

岩村康弘 荒田吉明 北村晃 高橋亮人 水野忠彦 

「常温核融合」、これは衝撃的なネーミングであったが、まず現在はっきりしていることは、原子核種は常温付近において他の核種に変換できる、再現性にまだ問題はあるが条件によっては入力以上の出力(エネルギー)が発生するということである。

原子各種の変換に関する報告について確認と若干の補足を加えておく。

大阪大学       ZrPd合金を用いて、重水素ガスより多量のヘリウム発生と発熱を認める
豊田中央研究所   Pd/CaO層の上にCs層をのせ、重水素ガスを流すとCsがPrに変わる。
             Cs(セシウム133)→Pr(プラセオジム141)
三菱重工業
             Cs→Pr、Sr(ストロンチウム)→Mo(モリブデン)の核変換を確認




常温核融合(Wikipedia) 抜粋

1989年にイギリス・サウサンプトン大学のマーティン・フライシュマン教授とアメリカ・ユタ大学のスタンレー・ポンズ教授が、この現象を発見したとマスコミに発表した。重水を満たした試験管(ガラス容器)に、パラジウムとプラチナの電極を入れ暫らく放置、電流を流したところ、電解熱以上の発熱(電極の金属が一部溶解したとも伝えられた)が得られ、核融合の際に生じたと思われるトリチウム、中性子、ガンマ線を検出したとしている。

しかし、1989年の発表直後より数多くの追試が試みられたものの、多くは過剰熱の確認ができず、過剰熱の観測に成功した実験でも再現性は低くかった。

その後、注目度の低下に伴い研究は下火になるものの、国際常温核融合学会などを中心に約300人程度の研究者が世界中で研究を続けた。そうした研究者たちの地道な努力の継続により説得力のあるデータの蓄積も進み、主要な論文の一部は「Fusion Technology」、「JJAP」、「Physics Letter」、「J Electro-Anal. Chem」に査読論文として掲載されることとなった。しかし、一方で「Nature」、「Science」などでは、常温核融合関連の論文掲載を拒否している。

すぐに実用化可能なほどの大きな過剰熱反応は、2012年時点での研究では確認されていない。これまでに実験的には以下のようなことが報告されている。

 検出される中性子量は一般の核融合で予想される量より7桁以上少ない。

 γ線はほとんど検出されない。

 面心立方型および六方稠密型金属では起きるが体心立方型では起きない。

 反応生成物は主にHe(4)で、またPbまでのほとんどすべての元素が生成される(核変換)。
 生成された元素の同位体比率は天然のものとは異なっている。

 軽水でもNiなどとの組み合わせで現象が発生する。

 過剰熱現象の再現性は最大60%程度の実験系が、核変換では再現性100%の実験系が報告されている。

 過剰熱の発生量としては電極1平方センチあたり0.1 - 1W程度がもっとも多いが、
 まれに10Wや1,000W/ccといった報告もある。

 過剰熱の発生頻度と過剰熱の大きさをプロットすると両対数グラフ上でほぼ直線になって
 勾配は-1から-2の間となる。

現象の発生には試料表面付近のナノ構造が関与しているものとみられている。これらの結果は現代の物理学では説明のつかないものであり、実験と並行してこれらの結果を説明するための理論面の研究も続けられている。ただし、様々な理論が提案されているものの、現時点ではすべての現象を説明可能な理論は未だ確立されていない。

主な研究事例

北海道大学の水野忠彦、大森唯義
 1996年に、常温核融合の正体は原子核が他の原子核に変化する「核変換」現象だったという、当初考えられていた常温核融合に対する解釈とはまったく異なる内容の論文を発表している。
 2008年6月11日には、水野忠彦が水素と炭素を加熱することで、自然界には1%程度しか存在しない炭素13が大量に発生し、窒素と過剰熱を検出したと北海道新聞に報道された。

三菱重工の岩村康弘
 2001年にパラジウム、酸化カルシウムの多層基板上にセシウムをつけて重水素ガスを透過させセシウムからプラセオジムへの核変換が生じたと発表した。 同様にストロンチウムからモリブデンへの核変換も報告した。

荒田吉明(大阪大学名誉教授)
 特殊加工されたパラジウムの格子状超微細金属粒子内に、重水素ガスを取り込ませることで凝集し、これにレーザーを照射することで、通常の空気中の10万倍のヘリウムの発生を観測した。
 多くの追試がなされており、2007年の第13回国際常温核融合会議においてフランス・マルセイユ大学、イタリア・フラスカチ大学、ロシア・ノボシビルスク大学、トムスク大学から荒田方式による過剰熱発生の報告があった。
 2008年5月22日、荒田吉明大阪大学名誉教授により大阪大学で公開実験が行われ、5月23日の日経産業新聞および日刊工業新聞で報道された。新聞報道によれば、レーザー、電気、熱等を使わずに、酸化ジルコニウム・パラジウム合金の格子状超微細金属粒子内に重水素ガスを吹き込むことだけで、大気中の10万倍のヘリウムと30kJの熱が検出されたものである(日経産業新聞)。生成されたヘリウムは一度金属内に取り込まれると数百度の熱を加えないと放出されないためサンプル再生が課題となるとしている(日刊工業新聞)。同内容の論文は高温学会誌Vol34「固体核融合実用炉の達成」で発表されている。しかし、論文のタイトルにあるような原子炉が工業的使用に耐える有用なエネルギー源として稼動したという意味ではない。

イスラエルのエナジェティクステクノロジー、アメリカのスタンフォード大学・リサーチ・インスティテュート(SRIインターナショナル)、イタリアENEAの合同チーム
 表面処理をしたパラジウム電極を用いた重水電気分解でスーパーウエーブと呼ばれる波形の電圧入力や超音波照射などを組み合わせることにより入力の10倍以上の過剰熱を2007年時点で再現性60%で発生させたと発表している。最大の例では平均0.74ワットの入力時に平均20ワットの熱出力が17時間継続したと報告している。

マサチューセッツ工科大学(MIT)
 2007年に行われた常温核融合国際会議で発表された試算では、世界中で3,000件の論文で追試されているといわれる。多くの研究で再現されてはいるものの、結果にばらつきがあることが問題視されている。

主な理論検討
高橋亮人 正四面体凝縮(TSC)理論
小島英夫 TNCF(Trapped Neutron Catalyzed Fusion 捕獲中性子触媒機構)モデル
松本高明 ナットーモデル


          ブログ一覧に戻る        ホームページ「アルケミストの小部屋」に戻る



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
常温核融合発見の発表から25年、研究は今も進行中 アルケミストは考えた/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる