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zoom RSS 科学と消費者を欺くと企業は弱体化する、その一例

<<   作成日時 : 2014/03/17 00:08   >>

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科学を偽って自分に都合のいいように使うと、消費者は騙されて関連する商品を購入し、会社としての利益は上がるかもしれないが、その裏で気がつかないうちに失っているものがある。科学とはこんなもの、消費者とはこの程度のものと決めてかかり、商品開発とはこんなものと思い込んでしまうと、とんでもないところで落とし穴に落ちる。

2010年に以下の文章を書いていたことを思い出した。これは、私の常識からは到底信じられないアレル物質なるものを大々的に宣伝し、その存在が学会誌でも認められたと称して、空気清浄機を大々的に売り出した企業について記したものである。論文を出し、査読の結果これが雑誌に掲載されたので、アレル物質はイオンクラスターの作用により有効に分解されて無毒化されるとのストーリーである。

私はこの分野には素人であるが、どうみてもこの論法には無理がある。効果があるかないかが未知の技術をあたかも非常に効果があるように見せかけているようにしか思えなかった。プラズマクラスター(Wikipedia)には、現時点で次の記載がある。



消費者庁による不当表示判定(優良誤認)

シャープは製造した「プラズマクラスター」を組み込んだ掃除機に関して、空気中に浮遊しているダニの糞や死骸等のアレルギーの原因となる物質を分解、除去すると広告で表示していたが、2012年11月28日、消費者庁が外部の研究機関に依頼して調べた結果、表示された通りの性能が出なかったため、同社に対し不当景品類及び不当表示防止法違反(優良誤認)で再発防止を求める措置命令を出した[8][9]。この措置命令に対しシャープは、プラズマクラスターの性能自体の問題ではなく広告表示への指摘だとしたうえで、2012年10月末までに広告表示の修正を行った[10]。

8.^ “シャープ掃除機、不当表示 「ダニのふん除去」うたう”. 朝日新聞. (2012年11月28日) 2012年11月28日閲覧。
9.^ シャープ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について(PDF) (PDF) - 消費者庁,2012年11月28日
10.^ 弊社掃除機のカタログ表示等に関する措置命令についてのお詫びとお知らせ2012年12月3日閲覧



日本の企業が世界に誇れるもの、それは科学や技術に対して真摯に向かい合い、工夫と試行錯誤を重ねながら社会の役に立つ製品に仕上げていく、その態度そのものである。自分自身を偽ること、そしてその偽りを許す社風があることが、近い将来においてその会社を弱体化させ、その会社を存亡の危機に晒す可能性がある。偽りの芽を早期に摘み取る、あるいは間違いの可能性があるものについてはそれを正していける、そのような自浄システムが組織には求められる。




2010年1月23日文書

空気清浄機プラスマクラスターイオンの正体は? 世間に風説を流布するものか?

プラズマクラスターイオンなるものが大手を振って闊歩している。今までこの言葉を知らなかった私が無知なのかと思い、調べてみた。

その結果は、私の頭がますます混乱。なんと最先端科学の難しいことか。



エアカーテンと除菌技術で空気清浄する機器を新発売 2010年1月21日

同機の除菌・消臭の簡単なメカニズムは次の通り。同社が提携するシャープ株式会社のプラズマクラスターイオン(R)を放出し、空気中に浮遊するウイルスを抑制、アレル物質(完全な造語)、カビ菌を分解・除去。二酸化塩素除菌剤が、空間、さらにテーブルなど付着したウイルス、細菌などに直接働き、除菌する。浮遊菌と付着菌に強いそれぞれの除菌効果をエアカーテンで効果的に室内に噴出することにより、大きな空間清浄効果が期待できる。



プラズマクラスターイオン(Wikipediaより、造語) 相当する海外のWikipedia記事は皆無

プラズマクラスターイオンとは、マイナスイオンとプラスイオンをプラズマ放電する技術のことである[1]。家電メーカーシャープによる造語で、科学技術用語ではない。

概要 [編集]
マイナスイオンがブームになった時代に、シャープは同様に大気中の「イオン」に対して、特に自社のイオン発生器が生成するイオンをプラズマクラスターイオンと命名した。

シャープではプラズマクラスターイオンに除菌や脱臭の効果があるとしており、空気清浄機やエアコン、冷蔵庫などの分野において、イオン発生器を組み込んだ製品を展開している。

開発者による技報[2]によると除菌効果は、放電で同時に発生したオゾンによるものではなく、正イオンと負イオンの反応により生成した活性酸素(OHラジカルなど)のタンパク質変性作用がウイルスを不活性化するとしている。従い同社では「マイナスイオン」という用語ではなく、同社の特許技術[3]である「プラズマクラスター」というシャープの登録商標を使用している。この名称と技術を用いているのは2009年現在シャープのみである。

「除菌効果の実空間での実証」が開発者以外の第三者によってなされた科学論文は2007年現在のところ存在しない。同社は、広島大学、大阪市立大学、ハーバード大学、ソウル大学など国内外の複数機関で研究を行い効果を実証しているとしている[4]。新型H1N1インフルエンザウイルスに対しても2時間の照射で99.9%抑制するなどの効果を検証している[5]。



Wikipediaで示された文献[4] シャープのホームページ

プラズマクラスターの説明サイト



Wikipediaで示された文献[5] シャープのホームページ 2009年11月2日発表

■ プラズマクラスター技術の有害物質活動抑制効果実証一覧
※ それぞれどの程度の効果があったかの数値が示されていない。
※ 研究機関よりの論文発表が皆無である。



シャープ技報 第89号 2004年8月

放電プラズマにより生成したクラスターイオンを用いた室内浮遊アレルゲン失活技術
※ 自社の報告書に掲載しただけ
※ アレル物質と書いてないところが素晴らしい 
   当時はそのような都合のよい言葉が発明されていなかったのだろう



プラズマクラスターイオンに関するベストアンサー

マイナスイオンは大気科学関係の用語で,正式には「空気負イオン」,空気中の微細水滴などが負の電気を帯びたものを指します。化学用語ではありません。負の電荷を与えている陰イオン(←これは化学用語)が水滴中にあるはずですが,これははっきりとは特定されていません。

マイナスイオンを発生させるのは大別して放電を用いるものと水の破砕によるもの,放射線を用いるものがありますが,放電の場合はオゾン(活性酸素種ですね)が副産物として発生します。いずれにしてもマイナスイオン発生濃度は「プールに目薬1滴」くらいで,効果があると考える方が魔術的に不思議です。オゾンが発生する場合も,大した量は出ないでしょう。マイナスイオンetc.機能があってもなくても製品として変わらないと思っていいです。

「マイナスイオン」が断末魔状態なので,名前を変えて出してきているように思いますよ。



高校の先生のために書いたマイナスイオン

空気イオンは未科学である

 以上述べてきたように、空気イオンの存在は、100年前から確認されているとしても、その組成であるとか、生体への効果、さらには、その作用機構などについては、まだまだ未解明のことばかりである。その理由は、一つは余りにも微少であること、さらには、安定な化学種ではなくて、経時変化をするからである。すなわち、真空装置の中などで純粋なものを作っても、それが、大気中に放出されたときには、もはやどのような化学種になっているか分からない。
 となると、現代科学の最先端技術を使っても、恐らく、この物質の本質解明には相当苦労をするだろう。すなわち、未だ科学的解明は不十分であって、この物質が何か効果を示すと断言するのは難しい。
 広島大学の島田氏、高知高専の長門氏のように、純粋に物質の追及を行なう試みが、未科学が科学になる可能性を示している段階である。
 こんな未科学の物質であっても、最近の大メーカーは商品化してしまうのである。一体、誰を信用すべきなのか、恐ろしい時代になったものである。



生活衛生 53(4),239−246(2009) 

論文 プラズマクラスターイオンによる除菌作用の原理と応用
これが唯一の査読付き論文といわれるが、タイトルの頭に「解説」と記されている。
※ 読んでいると疲れてくる。




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内 容 ニックネーム/日時
わが家には、シャープ製の亀山モデルと言うテレビが2台あります。このテレビは一世を風靡し飛ぶ鳥を落とす勢いの会社の業績に貢献しました。堺にある新日鐵の工場跡地を購入し巨大な工場を建て始めましたが、途中で建設は中止と成りました。円高とサムスンの追い上げに負けた様です。おっしゃる様に企業の社会的責任と倫理観は大切です。平家物語の冒頭の様にならない事が求められます。

華の熟年
2014/03/17 19:50
実は私のうちのテレビもシャープ製です。シャープの製品は優秀であると実感しています。シャープ(Wikipedia)には次のようになっています。「成功体験」と「おごり」には心しなければ、という実例となってしまったようです。
シャープの危機は、発展そのものに埋め込まれていたという。「オンリーワン」「基礎材料メーカー」をめざした中で、液晶の市場規模が小さいときにトップシェアとなり、松下(パナソニック)陣営のプラズマディスプレイとの戦いに勝ち、売り上げを数十倍に伸ばし小さな町工場を世界企業に育てた。その中でおごりが生まれ、社内で「液晶」についての批判的言辞はタブーとなった。液晶に賭けた「一本足経営」と、実質的無借金経営から借金漬けの経営になったため、経営陣の内紛、戦略の失敗、経済危機などがそのまま経営危機に直結した。中興の祖の佐伯旭一族が実権を握り続けた(1959-2012年の53年間)。技術重視の姿勢が貫かれ、力を生み出すと同時に営業を軽視することにつながったと言われる。また、液晶テレビや太陽光発電など膨大な投資を必要とするものは減価償却後の利益で次の投資をするのが基本だが、シャープは新しいものを作った後が続いていないという経営の失敗が続いている。
畑啓之
2014/03/17 23:11

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