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zoom RSS 二酸化塩素(ClO2)による空間除菌は誇大広告?

<<   作成日時 : 2014/03/29 00:01   >>

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各社のWebなどでは、「対象製品を使用することで、対象商品から放出される二酸化塩素(ClO2)が、生活空間において、ウイルス除去、除菌、消臭などをするかのように示していた」ことが問題となった。空間に漂うウイルスや雑菌は、空間においてはClO2では除菌できないということである。

ClO2を使った除菌に真面目に取り組んでいるのは大幸薬品である。正露丸を発売しているあの会社である。正露丸の隣接領域にClO2を開発したことになり、企業としては目の付け所が良い。「大幸薬品 二酸化塩素」で特許庁のデータベースを検索すると、26件がヒットする。

その中の一番最新の「浮遊ウイルス感染対策方法(WO2007/061092、特許第5379976号)」を見てみると、

空間中のClO2濃度は実施例では0.08ppmと、健康が懸念される0.1ppm(下を参照)よりも少し低い濃度で実験している。また対照(コントロール)としてClO2を加えない場合も実験している。ウイルスはリン酸塩緩衝液に溶かし、それをエアロゾルとして空間に供給している。この条件下にマウスを15分おき、その後の様子を見た。その結果、マウスが死に至るまでの期間は明らかにClO2を与えたほうが長くなり、ClO2にウイルス抑制効果が認められたとある。ただし、このClO2濃度を0.03ppmとした時には効果は認められていない。

さらに特許では、マウスをウイルスに暴露した後にClO2雰囲気に晒した場合にも、ウイルスの抑制効果が確認されたとある。

以上の記述より私が感じるのは、ClO2が水に溶解(溶解度は下のWikipediaを参照のこと)して初めてウイルスあるいは細菌などへの抑制効果が生じているということである。特許の実験においてはウイルスはりん酸水溶液に溶解してエアロゾルとして用いられた。この水溶液中にClO2が溶解し、ウイルスを無力化したと考えるのが妥当である。マウスをウイルスに暴露した後にClO2を吸引させた場合も同じである。ウイルスが付着した湿潤な気道や肺胞にClO2が高濃度で溶解し、ウイルスを無力化したと考えれば合理的な説明となる。

健康に害を与えないとされるClO2濃度は0.1ppm、実験で有効とされたClO2濃度は0.08ppm。ClO2はウイルスにも人間にも近い濃度で強い影響を及ぼしているようである。


大幸薬品の投稿した論文を紹介しておく。

極低濃度二酸化塩素ガスによる真菌Alternaria alternataの菌糸成長抑制(2007年)

この論文は、培地(栄養を含んだ寒天)上でのカビの増殖速度でClO2の効果を確認しているが、実験時に培地中にClO2が溶解すると考えられ、厳密な実験条件になっているかの疑問が残る。
実験で用いたClO2の濃度は0.099ppm。
空間でカビが増殖抑制されたとは言っていない。
ClO2雰囲気を取り除くとカビが増殖を開始するので、ClO2の効果は成長抑制効果である。

二酸化塩素ガス発生ゲル剤によるネコカリシウイルスの不活性化の検討(2013年)

この実験でもウイルスが空間中において不活性化されたとの記述にはなっていない。


さらに関連ある文献として、

二酸化塩素放出薬のインフルエンザ様疾患に対する予防効果(自衛隊、2010年)

ClO2雰囲気の部屋とそうでない部屋(各300人超)における自衛隊員のインフルエンザ罹患率より、ClO2がインフルエンザ抑制効果ありとの結論を引き出している。


以上、見てきたように、二酸化塩素(ClO2)には確かにウイルスや菌の増殖を抑制する効果があるようですが、それは空間においてウイルスや菌とClO2が作用してそれらを無力化するのではなく、ウイルスが付着した水環境(例えば粘膜上)へClO2が溶解することにより初めてその効果を発揮すると考えるべきとの結論となった。




家電Watch 3月28日

消費者庁、二酸化塩素による「空間除菌」メーカー17社に措置命令

 消費者庁は、二酸化塩素を利用した「空間除菌グッズ」を販売する17社に対し、景品表示法第6条の規定に基づき措置命令を行なった。17社が自社のWebサイトなどにおいて行なった表示において、表示を裏付ける合理的根拠が示されず「優良誤認」に該当するとしている。

 各社のWebなどでは、「対象製品を使用することで、対象商品から放出される二酸化塩素が、生活空間において、ウイルス除去、除菌、消臭などをするかのように示していた」と説明されている。

 すでに、数社からは措置命令を受けて、自社の表示が景品表示法に違反するものであったという告知が出ているが、表示内容が問題であり製品の性能には問題がないという記載で統一されている。

 一例として大幸薬品のリリースでは、次のように記載されている。

『 なお、今回の指摘は、当該2商品の当社ウエブサイト等での広告表現に関するものであり、製品自体の性能については、何ら問題ございません。 弊社は、ウエブサイトで使用されている該当表現について「*ご利用環境により成分の広がりは異なります。」という注意文言を入れる等、速やかに修正を行ないました。弊社では、二酸化塩素分子には、空間中のウイルスや菌を除去し、カビの生育を抑制し、消臭する働きがある事を確認しており、今後も、実製品による一般居住空間等での検証を繰り返し、その結果を元にしてわかりやすく誤解のない広告表記を行ってまいります。 』

 なお、二酸化塩素を使用した除菌製品については、2010年に国民生活センターも実物によるテストを行ない、「二酸化塩素による部屋等の除菌をうたった商品は、さまざまな状況が考えられる生活空間で、どの程度の除菌効果があるのかは現状では分からない」という使用上のアドバイスを公開している。


二酸化塩素(Wikipedia)

常温、常圧では塩素やオゾンのような刺激臭のある橙色の空気より重い気体。光や熱に対しては不安定。溶解度 0.8 g/100mL水 (20 ℃)。反応性が高い。

空間除菌用途での有効性と安全性

2008年、強毒性H5N1型鳥インフルエンザの人型変異とそれに起因する世界的大流行(パンデミック)への懸念から、空間消毒薬として二酸化塩素ガスが注目され、日本の経済報道番組でも紹介された。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」2008年5月2日放送回。二酸化塩素をガス化して噴出させるエアコンを電機メーカーが開発中であり、ホテルやオフィスからの問い合わせが増加している、との内容であった。それ以後も日本のプロ野球団で使用されているとスポーツ紙で取り上げられるなどしている。

しかし、二酸化塩素の安全性は経口摂取では確認されているものの、長期間低濃度雰囲気での暴露に係る安全性の検証(毒性試験)は不安定で反応性の高いガスである為か、世界的にみても十分とはいえない状況である。

このような状況ではあるが、米国産業衛生専門家会議(ACGIH) が定める作業環境基準においては、二酸化塩素の酸化力は塩素よりも小さな値とされており、また、ラットの吸入による急性毒性を表す半数致死濃度(LC50)も塩素より低く、二酸化塩素の方が塩素よりも毒性が強いと考えられている

米国では、労働安全衛生局(OSHA)は1日8時間暴露(TWA:時間加重平均値)で0.1ppmを暴露限界として設定しており、日本では製造事業者側がこれを二酸化塩素に依る空間消毒薬の暫定的な安全基準として提示することがある。 他に、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)が1日8時間又は週40時間暴露(TLV-TWA)で0.1ppm、かつ常に15分間のTWAが0.3ppm以下でなければならない(TLV-STEL:短時間暴露限界) と暴露限界を設定しており、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)も別の条件下における暴露限界を設定している。これらの基準値は一般家庭ではなく、工場などでの成人の職業性曝露を念頭に設定された値であることに注意をしなくてはならない。

日本においては、労働安全衛生法で「名称等を通知すべき危険物及び有害物」の一つとして指定されているほか、一部地方自治体の生活環境保全条例や化学物質環境安全管理指針等で排出が規制されている。暴露限界に関する基準は存在しない。

公的機関による調査

独立行政法人国民生活センターが据置芳香剤型の空間除菌をうたった商品に対して行った調査では、二酸化塩素を有効成分とうたっているにも関わらず放出が皆無である製品の存在や臭気が原因とみられる体調不良者の発生、自社での有効性・安全性確認がなされていない製品がほとんどである実態がみられた。 また、同機関が行った首から下げるタイプの除菌用品に対して行った調査では、一部の商品に化学やけどを引き起こす皮膚腐食性や安全性を過信させる表示が認められるなど、今後の改善が求められる。

なお、二酸化塩素がウイルス等を死滅させる事実があっても、日本においてウイルス感染を予防できる旨を商品の効果・効能として表示するには厚生労働大臣による医薬品としての製造販売承認が必要である。現状としては医薬品として販売されている製品はなく、雑貨として販売されているにもかかわらず不適表示・広告している製品がみられる。



追加情報

日本経済新聞 4月1日

根拠ない広告に課徴金
「飲むだけでやせる」などの「不実証広告」に



読売新聞 4月3日

「空間除菌」、新たな広告も問題視…消費者庁

 生活空間での除菌や消臭効果をうたった衛生製品「クレベリンゲル」などの宣伝に根拠がないとして、消費者庁が製造販売元の大幸薬品(大阪)などに景品表示法に基づき再発防止を求めた問題で、同庁が同社の新たな広告を問題視し、「根拠がない製品に裏付けがあるかのような印象を受ける」と懸念を伝えていたことが2日わかった。

 同庁などによると、同社は再発防止を求められた後の3月31日、新聞各紙に「『クレベリン』の主成分『二酸化塩素』は、ウイルス・菌を除去します」という見出しの広告を掲載し、製品の有効性を主張していた。これについて、同庁の阿南久長官は2日の記者会見で、「一般消費者に誤解を与える恐れがある」と批判。同庁は、今後も同社が同じような表示をした場合、同法に基づく更なる対応を検討するとしている。

 一方、同社は阿南長官の発言を受け、読売新聞の取材に対し、「多額の研究開発投資や様々な実験を実施している」と説明する文書を出した。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
二酸化塩素(ClO2)は、極めて有害な物質ですね。ごく微量でも人体に悪影響を及ぼすと思います。空中に浮遊する細菌を殺す前に、人間の細胞がやられます。

熱力学でエントロピーの増大と言う法則があります。何もせず、放置しておけば、秩序から無秩序に変化してしまうと言う、サイエンスでは有名な法則です。人間の行動も段々と安易な方向に行きます。汗をかき努力して常にエントロピーを減らす必要あると思います。

私は、最後の落とし所はいつも科学の法則と照らし合わせる癖が付いて来ました。文系の物差しと、理系の物差しと、2本で測定してしまう。変な癖かも知れません。(^_^;;

華の熟年
2014/03/29 21:41
本文の繰り返しになりますが、二酸化塩素0.1ppmが人体に悪影響を及ぼす空気中濃度と考えられている時に、0.08ppm濃度で室内を満たす。きわどい濃度です。一方で、0.03ppmでは効果がない。となればできるだけ濃度を高め0.1ppmに近づけようとする。そうしないと目に見える効果が現れない。二酸化塩素は製品から発生(特異点から発生)するわけですから、当然0.1ppmを超える空間部分も出来てくる。危険と隣り合わせということになりますので、このあたりの注意書きが必要となってきます。どのように書くかはかなり難しい問題となってきますが・・・・
畑啓之
2014/03/29 22:00

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