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zoom RSS 田舎に移住するのにも厳しい障壁が設けられている

<<   作成日時 : 2014/05/10 01:09   >>

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年をとったら自然あふれる田舎で余生を送ろうと考えられている向きは多いものと思う。その一方で、田舎は過疎の波にさらされ、限界集落などの言葉も聞かれるようになって久しい。下に示した日本経済新聞には、近い将来、多くの地方自治体が人口減少によりその機能を失うと報じられている。

私が住んでいる兵庫県加古川市は幸いにもこの消滅する自治体のリストには入っていない。加古川市は瀬戸内海に面し、南部は工業地帯で人口が密集している。一方、北部は田園地帯で緑豊かな地域であるが、年々人口が減少して行っている。加古川市は表面的には北部の人口を維持しようとしているが、現実はそうはなっていない。

私が生まれ育った加古川市北部は農村地帯である。農村といえば響きはいいが、農家の耕作面積は1町歩以下である。多くの農家は3段以下である。米農家として生計を立てるには最低でも3町歩の田が必要と言われている。1町歩(ちょうぶ)は10段(たん)。1段は300坪、約1000m2である。従って、1町歩は10000m2となる。

農村部で人口を増やす方法としては2通りしかない。兄弟姉妹が近くに住むか、あるいは外部からの新しい住人の流入である。

兄弟姉妹が近くに住む場合、長男が農家を継ぐとすれば、それ以外の兄弟姉妹が農地の一部を貰い受け、そこに家を建てる方法がある。たとえば、3段(3000m2)の農地より90坪(300m2)を切り離して、そこに家を建てる。これは可能である。一方、農業を継ぐ長男には特別ルールが課せられる。それは、農地を自分用の宅地に転用しようとした場合、生涯農業を続けますとの誓約のもとに一生に一度だけ農地を転用して宅地を確保することができる。なんとなく、長男は割を食ってるようにも感じる。

最近の実情はどうかというと、次男、三男、そして長女、次女は都会へ出て行ってしまうので、農地を転用してまで家を建てることは少なくなったように思う。農村部で人口減少が止まらない理由がここにある。

もうひとつの方法である外部からの新しい人の流入。こちらは少しずつであるが新しい家が建つ。昔ながらの大きな家(1段=300坪=1000m2)を超える家が多かったので、そのあとには道路をとっても新しい家が4〜5軒建つ。こちらは人口を増やすには効果的だ。若い人も増える。

10年くらい前まではこの方法で外部より流入してくる人がいた。だが、この流れも過去のものになったのではと感じている。外部の人が家を建てるのに障壁が設けられたからだ。最近では更地の取得が難しくなっている。その理由はこうだ。

私が生まれたところを例に上げると、農地の宅地への転用は難しいにしても、宅地として登録されている更地には簡単に家を建てることができると考えるのが普通である。しかしそれができない。その理由はこちらに書いてあるが、具体的には、その更地を購入できるのはその地に10年以上住んでいる、あるいは住んだことのある人となっている。その地の定義は同じ小学校区ということである(市役所に確認した)。

同じ地区以外の人がこの更地を購入して家を建てようとした場合には、土地の売買は自由であるが、家を建てるのに許可がいる。加古川市が決めているルールである。土地の売主(あるいは売却予定者)あるいは買主が町内会にその旨の申請を出し、2月に町内で回覧(閲覧)、4月の町内総会で異議が出なければ、町内会長の許可印を押して書類を加古川市に提出する。加古川市は8月に専門委員会で審議し、問題がなければこの更地に家を建てても良い旨の許可を出す。

実に大変なルールである。家を建てることを思い立ってから1年弱の期間がこの許可を得るだけでかかってしまう。確実に許可が得られることが分かっていれば、設計図を並行して引けるところだが、その保証もない。

さらに、家を建てても良いと認められた更地の固定資産税はいくばくか増額されるとのことであるが、その金額、あるいは割合については、個人情報に関すること?という理由で市役所ではこの情報を得ることができなかった。

このような厳しいルールがあるためか、ここ数年、私の生まれ故郷であるこの加古川の田舎に新しい人の流入はない。勘ぐると、加古川市は田舎の人口をできるだけ減らして、管理費用を下げたいと思っているのではないだろうか。人を街に集め、一括で管理する方が経費が安く済むと考えるのが市行政としては合理的である。


住むための権利を得るのがこのように手間と時間を必要とする加古川の田舎。近い将来、この加古川の田舎に家を持っていることがステータスとなる時代が来るだろうか?



日本経済新聞 5月8日

自治体、2040年に半数消滅の恐れ 人口減で存続厳しく

 日本の人口が減ると、全国の地方自治体の維持が難しくなるとの長期推計が相次いでいる。元総務相で東大の増田寛也客員教授らは8日、2040年には全国1800市区町村の半分の存続が難しくなるとの予測をまとめた。国土交通省も全国6割の地域で50年に人口が半分以下になるとしている。ある程度の人口を保つことを前提にした国土政策は見直しを迫られる。

(続く)



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