ナイロンの原料ε-カプロラクタムの製法も時代とともに変化
ナイロンの原料であるε-カプロラクタムは、2008年の生産量は42万トンであり、ナイロン6の原料である。
その製法は時代とともに少しずつ変化してきているようである。現在行われている製法ルートについては赤線でそれを示した。
最近の大きな進歩は、環境への配慮である。多量に副生してくる硫酸アンモニウムの副生量を大幅に削減することに成功している。すなわち、下に示した直接酸化法で、
シクロヘキサノンとヒドロキシルアミンの脱水縮合で得られるオキシム化合物は、ベックマン転位反応を経由して、ナイロン6の原料であるε-カプロラクタムを与える。しかし、この方法では硫酸アンモニウムが多量に副生してくる。この副生を避ける方法として、シクロヘキサノンにアンモニアと過酸化水素を反応させてオキシム化合物を得、次いでハイシリカゼオライトを触媒として気相ベックマン転位反応を行う方法が住友化学により工業化されている。
なお、参考情報として、ε-カプロラクタムは、2012年12月現在、国際がん研究機関 による発がん性リスクで「Group4(ヒトに対する発癌性がおそらくない)」に分類されている唯一の化合物である。
昭和37年版科学技術白書
昭和45年版科学技術白書
The Daily Molecules
15710の価格商品(化学工業日報社、2010年)
①直接酸化法
シクロヘキサンを空気酸化して得られるシクロヘキサノンに、アンモニアから合成したヒドロキシルアミンを加えてシクロヘキサノンオキシムとし、ベックマン転位によりカプロラクタムを得る。東レ以外は全てこの方法。
②PNC法
東レの開発によるもので、シクロヘキサンを塩化ニトロシル(NOCl)と光化学反応で反応させてシクロヘキサノンオキシムを得る方法。
③スニア法(Snia法)
トルエンを空気酸化する方法。
④その他の方法 日本では実施されていない
ニトロシクロヘキサン法(DuPont法)
カプロラクトン法(Union Carbide法)
フェノール法
ブログ一覧に戻る ホームページ「アルケミストの小部屋」に戻る
その製法は時代とともに少しずつ変化してきているようである。現在行われている製法ルートについては赤線でそれを示した。
最近の大きな進歩は、環境への配慮である。多量に副生してくる硫酸アンモニウムの副生量を大幅に削減することに成功している。すなわち、下に示した直接酸化法で、
シクロヘキサノンとヒドロキシルアミンの脱水縮合で得られるオキシム化合物は、ベックマン転位反応を経由して、ナイロン6の原料であるε-カプロラクタムを与える。しかし、この方法では硫酸アンモニウムが多量に副生してくる。この副生を避ける方法として、シクロヘキサノンにアンモニアと過酸化水素を反応させてオキシム化合物を得、次いでハイシリカゼオライトを触媒として気相ベックマン転位反応を行う方法が住友化学により工業化されている。
なお、参考情報として、ε-カプロラクタムは、2012年12月現在、国際がん研究機関 による発がん性リスクで「Group4(ヒトに対する発癌性がおそらくない)」に分類されている唯一の化合物である。
昭和37年版科学技術白書
昭和45年版科学技術白書
The Daily Molecules
15710の価格商品(化学工業日報社、2010年)
①直接酸化法
シクロヘキサンを空気酸化して得られるシクロヘキサノンに、アンモニアから合成したヒドロキシルアミンを加えてシクロヘキサノンオキシムとし、ベックマン転位によりカプロラクタムを得る。東レ以外は全てこの方法。
②PNC法
東レの開発によるもので、シクロヘキサンを塩化ニトロシル(NOCl)と光化学反応で反応させてシクロヘキサノンオキシムを得る方法。
③スニア法(Snia法)
トルエンを空気酸化する方法。
④その他の方法 日本では実施されていない
ニトロシクロヘキサン法(DuPont法)
カプロラクトン法(Union Carbide法)
フェノール法
ブログ一覧に戻る ホームページ「アルケミストの小部屋」に戻る
この記事へのコメント