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zoom RSS 「マイナス電子で効率的な歯垢除去、水だけで磨ける歯ブラシ」とは

<<   作成日時 : 2014/05/29 05:02   >>

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日本経済新聞(5月27日)の全一面ブチ抜き広告である。曰く、

  光電気化学に着目。半導体酸化チタンの光触媒反応を歯ブラシに応用
  光と水さえあれば汚れ(有機物)を落とすことができる技術です。
  明るい部屋でブラッシングすると、口腔内にマイナス電子が送り込まれ、歯と歯垢の結びつきを弱くします。


なんのことやら、よくわかりません。電子はマイナスに決まっているだろうと思いながら、この歯ブラシを出している株式会社シケンの特許を探しに。そして見つけました。ずばりその特許を。

特開平6−90824 電動歯ブラシ   拒絶査定

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赤丸を付けた9番が光触媒


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さらに、この特許からの補足を加えておきます。実施例中には、「1は透明なプラスチック製ですので光を投手ことができます。この合成樹脂製の柄1に形成した第1貫通孔1bおよび第2貫通孔1cに唾液等の水分が溜るから、この溜まった水分を介して光電気化学反応が効率よく推進される。」とあります。

これで、やっと光が光触媒まで到達すること、そして光触媒の表面が有機物?を含んだ唾液と触れ、私の理解では、その有機物を分解する可能性があることが示唆されました。ここで、私の理解とは、光触媒による有機物やその他の化合物(たとえば酸化窒素の無害化など)の変化は、光触媒上で起こります。

そして、やはり、上の赤線四角で囲った部分、「この励起電子は・・・・人体Mを経由して、歯牙Tに達する。」という表現で再度私の頭は混乱しています。励起電子が導体(たとえば電線)を通り他の場所に運ばれた場合、それは電子の流れであるので一般には電流と呼ばれることになると思うのですが、運ばれた他の場所(今の場合には歯牙)において励起電子であり続けることができるのでしょうか。

新聞広告では、この励起電子をさしてマイナス電子と言っているようにも思うのですが。




株式会社シケンのホームページによりますと、多くの関連論文を出しているとのことです。その中の3報を見つけました。


太陽電池を付与した棒状半導体TiO2のS.mutansに対する光触媒効果

電極を付与した各試験培地は,40Wの照明下,37℃ で5日間培養し,電極周囲のpH低下抑制領域(pH指示薬の色不変領域)の有無の判定および直径の計測を行った。



太陽電池を付与した棒状半導体TiO2のS.mutansに対する光触媒効果-第1報:酸産生抑制および抗菌効果について

各試験アンプルは40W,750Luxの照明下37℃ で培養し,経時的に(0,6,12,24,36,48時間)pH及び生菌数の測定を行った。

各試験倍地は40W,750Luxの照明下,37℃ で5日間培養後23),電極周囲培地のpH指示薬の色不変領域(青色領域)の有無の判定及び直径の計測を行った。



太陽電池を付与した棒状半導体TiO2のS.mutansに対する光触媒効果-第2報:付着抑制効果につい

W,750Luxの照明下37℃ で24時間培養した。

電極を付与しない群と比較してTiO、電極群および太陽電池を付与したTiO、電極群において染色範囲の減少
が認められた。アパタイトペレットへの付着菌体の減少がみられたのは,光触媒反応の抗菌効果7〜lo)により菌数が減少したこと,ならびにSmuta1∬ の付着因子であるグルカンの合成が抑制されたことが考えられる。Tio2
に光が照射されるとH20十P+→HO・十H+(P+:正孔)の反応によりOHラジカルが生成され,このOHラジカルの酸化反応でプラークが除去されやすい状態になるという報告がある1U2)が,付着抑制のメカニズムについては今後さらに検討を加えていく必要がある。



以上の事柄より、疑問に思ったこと2点。

その一:
 マイナス電子という言葉は、言葉の綾として横に置くとして、わざわざ半導体効果を利用して発生させた光電子(電流)を直接に口内に放出するのではなく、「人体Mを経由して、歯牙Tに達する」とある。これは、発生した光電子を電流として扱っているということであり、これならば歯ブラシの振動用に用いている電池からの電流でも代用できる。舞台じかけは派手ではあるが、実際には見せかけの効果ということにはならないか?

その二:
 論文では24時間(1日間)あるいは5日間の培養で、半導体より発生させた光電子が抗菌に効果があるとしている。だが、歯磨きをする時間はせいぜい1日3回、長くても各5分間程度ではないかと考えられる。時間軸の長さが、論文と現実で違いすぎているように感じる。


単純に、以上の2点を疑問として感じました。でも、実際にこの歯ブラシに効果があり、愛用者に虫歯が少ないことが統計的に示されているならば、この特許や論文で示されている以外の、何か別の隠れている虫歯抑制効果があるのではないでしょうか。もしそうならば、それが何であるかを探すべきでしょう。

なお、蛇足とはなりますが、シケンからはマイナス電子を用いる関連特許として、これ以外に特開平4−82570特開平4−197307が出願されていました。この2つはこの歯ブラシの本質に関わる基本特許といっていいものだと思いましたが、ともに審査請求されないままに「未審査請求による取下」となっています。出願からの7年間、「特許出願中」として活躍したものと推察いたしました。




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