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zoom RSS 農業の生産性と魅力を向上させる妙薬はあるか? 農林水産省の資料を見て思う

<<   作成日時 : 2014/11/28 21:52   >>

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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉がまとまり、海外から安価な農産物が大量に輸入されるようになると、日本の農業は経営として成り立っていくだろうか。例えば米国よりブランド米、そしてオーストラリアより和牛が輸入された時、その価格が国産品よりもはるかに安ければ、消費者は当然そちらになびくであろう。現在、日本のカロリー自給率は40%とされているが、TPP締結によりこの自給率は急激に下がることが予想される。日本農業の崩壊である。

日本の農業は担い手が少ない。その主な原因は儲からないからである。そのために、耕作放棄地が増え、また農業従事者も高年齢化していっている。

日本の農地は総じて狭い。多くの農家は数反の圃場を耕している。1反(たん)は300坪、1000m2である。機械を入れるにも効率が悪い。利益を出すためには圃場を集約化して広い耕作地とし、組織的に運営していくことが求められる。また最近、経済産業省と農林省により推進されている6次産業化、すなわち、農業で収穫した農産物(1次産業)を、自ら加工(2次産業)し、そして自ら売る(3次産業)ことにより、付加価値をつけることも考える必要がある。1×2×3=6で6次産業化である。

一方、政府は毎年減反の規模を拡大してきているが、今年のように米が豊作の年は米価が下がり、生産量が増えたにもかかわらず収入が減少するといったことが起こる。これを防ぐためには、すなわちリスクを軽減するためには、米以外の作物も作ることを考える必要がある。

どの程度の広さの圃場を、どの程度の労力をかけて、何を育てればどの程度の収入になるのか? 農業に馴染みのないものにとっては雲を掴むようである。モデル例を農林水産省のホームページより見出したのでここに転載した。

労働力
 夫婦と長男の3人が働く設定です。2100時間÷250日=8.4時間/日の計算となっています。農作物は生き物ですし、農繁期・農閑期がありますからあくまでも目安の数値でしょう。ともかくは3人の合計で年間5800時間です。

農地
 所有農地は田が8反、樹園地が8反、そして借田が132反の合計148反です。これに頼まれて耕作している田が14反加わり、耕作面積の合計は180反(18町、5万4千坪、18万m2)となります。ちなみに甲子園球場は敷地面積54203m2ですから、優に甲子園球場3個分を上回る耕地面積となります。

生産・販売
 米と小麦とぶどうを栽培し、その一部を加工して販売する6自産業化部分も加えて売上高は1444万円です。これが家族3人の労働での販売高となります。

財務
 国から交付金1000万円が降りてきています。その他雑収入は何かはわかりませんが、230万円あります。これで収入合計が2674万円となります。国からの交付金はすごいですね。いつまでこの交付が受けられるのでしょう?
 必要経費に労務費43万円が入っていますが、おそらく農繁期にアルバイトを雇ったのでしょう。地代は167万円となっています。借田は132反でしたから、1反あたり年間の借料は1.3万円となります。1年間、1000m2の田の借料が1万3千円です。
 何やかにやを差っ引いて農業所得は469万円となります。時間給にして902円、面積あたり所得は26円/m2/年です。

どの地方の設定かは不明ですが、16町もの圃場が集められる好条件はどこにでもあるものではないと思います。それにもかかわらず、3人の家族労働で469万円(一人あたり156万円)の所得しか生み出せないということです。

農業の高度化(例えば耕作方法の改善とか、あるいは耕作物種の変更とか)が求められます。最近では企業が独自の特徴やノウハウを持って農業に参入してきていますので、そこに日本農業が独り立ちしていくヒントがあるのではと思っています。人間の生に直結した産業ですから、国もおろそかにはできない分野です。どうすれば若い人が魅力を感じる農業にすることができるか? これは国家的な大命題です。



新たな農業指標(農林水産省)

「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」(平成23年10月25日食と農林漁業の再生推進本部決定)において策定することとされた「農業経営者を客観的に評価する指標」について、先進的な農業者や税理士等の専門家を交えて検討を行い、この度、幅広い農業者が経営の改善や発展のために活用できる比較的簡易な指標を取りまとめました。

特に、認定農業者においては、農業経営改善計画に沿って経営改善を着実に進めるため、この農業経営指標に基づく自己チェックを毎年行うこととされています。

この指標は、農業者が経営改善に必要な取組の実施状況や経営データを自らの手でチェックすることで、経営マインドの向上や経営内容の改善を促し、ひいては農業所得の向上等に資することを目的としており、次の3点の資料から構成されています。

1.経営改善のためのチェックリスト(PDF:47KB)
農業経営の発展に欠かせない経営管理、生産、販売、財務、労務等に関する14の取組について、農業者が自らの現在の取組状況を確認することで、確実な実践を促すことを狙いとするものです。

2.経営データの記入フォーム(PDF:101KB)
農業経営の基本となる労働力、農地、生産、財務について税務申告書等を活用しながら自ら記入することで、経営の現状と目標を数値の形で客観的に把握することを狙いとするものです。

3.指標による評価結果シート(PDF:76KB)
「取組指標」、「技術指標」、「財務指標」の3つの指標により、現在の経営状況の評価を行い、経営発展の方向性と目標達成への道筋を明らかにすることを狙いとするものです。



経営データの記入フォーム   数値が予め入れられているので、これをモデルケースと理解した。

労働力
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農地
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生産・販売
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財務
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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
この帳簿で日本の農家はバンバンザイですね?
匿名
2014/11/29 09:21
匿名様

おっしゃるとおり、気の持ちようです。最初は無理のない面積から始め、計画的に耕作面積を増やしていくのが良いでしょう。失敗しても食い扶持は確保されます。
日本の農業従事者は239万人。兼業農家も含んだ数字だと思います。平均年齢は66歳。若い人の参入を促しています。そのための公的資金として次のようなものがあります。準備資金(農業大学校などでの研修に供与、150万円×2年間)、経営開始時給付金(150万円×5年間)、就業時貸付金(上限3700万円、無利子)。至れり尽せりです。
さらに農家には次の特権があります。税務署の低補足率(3割?)、補助金や保証が充実、ただ同然の電気代、ただに近い固定資産税、相続税も実質免除、など。
さらに兼業農家であれば、給与所得との損益通算が可能。会社でも兼業農家の人が多く、税金は支払わなくても良いとのこと。厳しく兼業禁止規定を引いている会社においても、農業だけは別物となっています。

こうして見てくると、好きであれば農業は一国一城の主としてやっていける良い職業と言えます。
畑啓之
2014/11/29 20:52
農業は良い事づくめの様ですが農業は何故老人ばかりになのでしょうね。
匿名
2014/11/30 10:27

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