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zoom RSS 資本主義の根本は「蒐集」 富める者はますます富むという合理?

<<   作成日時 : 2014/11/29 20:31   >>

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現在はグローバルスタンダードのもとに、強者が弱者を搾取する、そんな時代だ。誰しも私は搾取などしてないというが、社会システムのありようから結果的には間接的な搾取を行っている。

搾取のない平等な社会とは、どんな社会だろう。社会のメンバーが全員で生み出した価値を全員で等分する、あるいは、等分とまではいかなくても個人の能力と寄与度を加味して公平に分配する。ノルウェーという国は完全ではないにしても、この理想を実現するための努力をしているように見受けられる。ほぼ日本と同じ国土面積に500万人と少ない人口、そして資源国であるからこれが可能であると言ってしまえばそれまでではあるが、ここにひとつの理想の姿があることには間違いがない。


住んでみたヨーロッパ 9勝1負で日本の勝ち(川口マーン恵美著、2014年9月、講談社+α新書)
第3章 不便をこよなく愛すノルウェー人 抜粋
 2011年の一人あたりの名目GNI(国民総所得)が世界1位で日本の約2倍。その変わり、消費税率は25パーセントで、物価の高さも驚異的。
 賃金が高いので、購買力もあり、国内では賃金と物価の釣り合いは取れているのだろう。
 崇高ともいえる大自然。国土の80%は森林や山や湖水のため人が住めない。
 完全な市場主義ではない資本主義
 ノルウェーは元から豊かな国であったわけではない。転機は1969年に訪れた。北海とノルウェー海で石油とガスが見つかり、それまで貧しかったノルウェーは一夜のうちに金持ちになった。オイルマネーで突然潤った国は、世界に他にもあるが、ただ、それらの国ではたいてい、外国資本と、それと組んだ一部の国民だけが富を蓄えた。ところがノルウェー人の凄いところは、そのお金で国民全体を豊かにし、強い国を作ったことだ。
 石油は輸出、電力は100%水力で
 ノルウェーの産業は、大量生産ではなく、専門性が集積した、高度な技術を持つサービスの分野に集中している。
 ノルウェーの豊かさの背景には、政治家と国民の知的な共同作業があると思う。自分たちの力を信じ、独立独歩で良い国を築いていこうという精神は、地下資源を持たない日本も大いに参考にすべきではないか。
 午後3時ごろ終業し家族の時間に


貧富の格差は時代を追うごとに開いていくもののようだ。その原因の一つに、教育を受ける機会が挙げられる。経済的に恵まれた家庭に育った子供は、教育を受ける機会が十分に与えられ、その結果、社会で成功者になれる確率が高くなるという。この流れが数世代繰り返されると、貧富の格差は増幅していく。ただしこの経験則は私の感じているところでは、当てはまる場合もあるし当てはまらない場合もある。金持ちの家に生まれても本来努力することが嫌いな人間も多いし、反対に貧乏な家に生まれても勉強に強い意欲を示し良い成績を修める人も多い。苦学しながら大学を卒業することはこの日本では不可能ではない。最近の状況には詳しくないが、私の学生時代にはそのような友達がいた。彼らは社会に出てバリバリと働いている。

それよりも大きな影響を及ぼしているのが生まれ年である。景気には大きなうねりがある。好景気の時に就職できる新卒者は仕事に恵まれるが、不景気の時の卒業生は惨めである。自分の責任でもないものに運命に翻弄されることになる。そして時間を追うごとに両者の貧富の差が大きくなっていく。正社員と派遣社員が同じ仕事をしたとしても、給与には差がある。これは派遣社員の給与の一部が正社員に渡ったと見ると立派な搾取である。

下に示した書籍(資本主義の終焉と歴史の危機)は「蒐集」に関して記されている。「搾取」とは書いてない。これまでは主要国(先進国)は周辺諸国より富を集めて栄えてきた。植民地政策しかり、安価な労働力を当て込んだ現地生産しかりである。しかし、すべての国が裕福になってくると、すべての国はどこからも「蒐集」ができなくなり、経済成長は止まる。この段階で「毎年成長率○○%」という経済成長神話が崩壊する。資本主義の原則が成長し続けることであるとするならば、すべての国が豊かになった時点で「蒐集」先がなくなり、世界の経済成長が止まるという話である。

わたし的には「蒐集」は「搾取」に近いので、このあとは「搾取」を用いる。他国からの搾取により持ちこたえた資本主義であるが、搾取先がなくなると資本主義が機能しなくなるというのがこの書籍の著者の説である。私は一国内においても搾取関係が成立していると思う。書籍にはアメリカの富裕層上位1%の所得が国民総所得に占める割合が示されている。23%強と実に大きな割合で驚嘆に値する。注目すべきはこの数値が石油ショック後の1976年より増加し始めていることである。経済的困窮に陥った時、持たざるものは多くを失い、その失った分が持てるものに集まるという構図だ。資本主義の本質として資本があるところに富は集まる。

ジニ係数の大きな国は国内での搾取構造となっているものと考えられる。この係数の大小は国の貧富とは直接関係ないように思われ、どちらかというと先進国が貧富の差が小さく、途上国がこの差が大きい結果となっている。

書籍にはさらに日本の金融資産非保有世帯の割合が示されている。昨年の割合は31.0%と非常に高く、約3世帯に1世帯は貯金も不動産も所有していないことになる。これは今日の核家族化の進行(若者の単身世帯が多い)と労働環境悪化によるところが大きいと考えられる。後者は働きたくても働く場所がない、あるいは好条件で働ける場所がないといったことが原因で、上で述べた卒業年次の景気がどうであったかに左右されている可能性が大きい。

ただし、この金融資産非保有世帯の割合が増加し始めたのはバブル景気末期の1987年からというのは少し不思議な感じがする。このあたりから若年者のひとり暮らしが始まったのであろうか? あるいは、1990年のバブル崩壊までは就職状況と金巡りはよかったと考えられるので、バブルの影響を受け「金は天下の回りのも」思想が浸透して貯蓄を怠るようになったのかもしれない。そのうちに、本当に金の回りが悪くなり今日に至ったという感じだ。

さて、目下進行中のアベノミックス。市中に溢れ出した「お金」は行き先を探して結局は株式市場に流れ込んでいる。株で資産を増やすのはやはり資産家。この例外のない規則に従い、貧富の差が拡大することになるのは歴史の必然か。日本国のノルウェー国への道は遠い。



資本主義の終焉と歴史の危機(水野和夫著、2014年3月、集英社新書)

p.91 グローバル化と格差の拡大
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p.197 経済定常状態アドバンテージを無効にする日本の現状
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本書のアマゾンの書籍レビューより全文引用

276 人中、236人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0

この本を多くの日本人が読んだときに日本の未来が開けてくる。, 2014/3/16
投稿者 CICADA

日本の実質賃金の指数:20%近く減少 1997年117.3→2013年97.7。 (2000年を100として。第二章より)
日本の資産ゼロ世帯の割合:10倍増 1987年3.3%→2013年31% (第五章より)

中間層がこれほどまでに困窮しているのは景気変動のせいだろうか?
著者・水野和夫氏は、もっと根源的な理由をあげる。13世紀に始まった「資本主義」が、その成立時点から抱えている矛盾が21世紀に入り、ついに覆い隠しきれなくなったからなのだと。

日本だけでなく、アメリカから中国、新興国、EUまで現代の各国・各地域の経済的な行き詰まりが独特の「水野理論」で解剖されているのが本書。各国の抱える諸問題がじつは一本の糸でつながっていることがよく分かる。

さらに言えば・・。今までの水野和夫の本は分かる人に分かってもらえばいい、という「密教」だったと思う。すでに2003年には、日本の長期デフレ化を予見する「100年デフレ」を刊行し、そのなかで世界経済危機も、資本主義の限界もよく読めば指摘されていた。そのことを踏まえて、今回の本を深読みすれば、資本主義の終焉がまじかに迫ってきていることを多くの人に共有してもらうことが、日本を救うことにつながるという「強い意思」が根底に流れていると感じられる。

とくに資本が暴走するなかで危機に瀕する「民主主義」がかろうじて機能しているあいだに資本を利するだけの「成長政略」から、多くの国民のための「生存戦略」に転換するべきだということ。「ひとり一票」の時代から、資産保有力にあわせて政治的発言力の多寡が決まってしまう前に方向転換が必要なのではないか。そんな彼の焦りを、今までになく「分かりやすい」水野本に感じて、読み手としてもぞっとする。

振り返れば、小泉政権下の「好景気」時代にデフレの長期化の予見を相手にしなかった人々は数多くいた。あのときに、水野の言葉に真摯に耳を傾けていれば、これほどの格差社会は生まれなかった。

そして、今回の「資本主義の終焉」にも、賛同しない人々は多いだろう。しかし、水野のこの予見と断言をどれだけ多くの人が真剣に受け止めるかで、日本の未来は変わってくるにちがいない。


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内 容 ニックネーム/日時
貧富の格差が世の中を変えてきましたが権力者が格差を是正することは世界の何処でも無かったしこれからも無い。

この点では歴史は繰り返します。 何度でも。
匿名
2014/11/29 20:56

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