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zoom RSS Google社の電波中継用気球は離陸するも、行き先は風まかせ?

<<   作成日時 : 2014/12/12 22:40   >>

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Googleは多数の中継用の気球を空中に浮かべ、電波リレーすることで電波の空白地域を埋めていこうとしている。その要点は次のように報じられている。


Frederic Lardinois 11月21日

気球からネット接続を提供するGoogleのLoonプロジェクト、オーストラリアの実験でさらに前進

GoogleのProject Loonは世界のインフラ未整備地域の成層圏上層に気球を飛ばしてインターネット接続を提供しようという試みだ。気球の滞空時間は昨年の実験開始当初より10倍も伸びている。多くの気球が100日間飛び続け、130日間飛び続けたものもあるという。気球の飛行距離は延300万キロにもなる。.

「何千もの飛行パターンのシミュレーションを続けた結果、われわれは気球を相当の精度で目標に近づけることができるようになった。たとえば、あるフライトでは9000キロを飛行した後で目標の1.5キロ以内に着陸させることができた。気球は成層圏の風向、風速を予測、利用することによってのみ制御された」と書いている。



数多くの気球が、空中を飛んでいる姿を想像すると、この計画が壮大なものであるかがわかる。ただし、多くの気球は当然のことながら風まかせで世界中を飛びまわることになる。10〜12kmの高度は一般には航空機の巡航高度であるので、それ以上の高度、成層圏を電波の中継に利用する必要が生じる。中国の上空を、北朝鮮の上空を、Googleの気球が好き勝手に飛び回る可能性も大きくなる。簡単なカメラを搭載するとGoogleを通じて米国は戦略情報を入手することも可能となる。はたしてそのようなことが実際に許されるものか?

ここで、問題点として浮かび上がるのが、空中はいったい誰のものかということである。100kmを超える高空は「宇宙」と定義され、ここには国家の所有権は及ばない。従って、100kmを超える高度を人工衛星は自由に周回することができる。また、こちらの資料(ポイントは以下に引用する)によると、建物の上空300m、地下40mまでは土地の持ち主に帰属する。従って、深層地下鉄は地表より40m以上深くに建設されるし、高圧電線が建物の300m以内の上空を通過する場合には土地の所有者に補償金を支払う必要が生じる。


資料よりの引用

国際的に高度100km以上の空間は,『宇宙』として,各国の主権(所有権)が及ばないとされています(カーマン・ライン)。

日本の法律上,私権としての土地所有権の『上空の限界(高さ)』をストレートに規定した法令はありません。
この点,航空法の規定がヒントになります。
<航空法による最低安全高度>
最も高い障害物(建物等)の上端から300mの高度
※航空法81条,航空法施行規則174条1号イ

土地所有権の『地下』方向の限界については,大深度地下法が関係しています。
<『大深度地下』の定義>
次のうち,いずれか深い方(より深い地下)(法2条)
ア 地表から40m(法2条1項1号,施行令1条)
イ 地表から『基礎杭を支持することにより2500kN/平方メートル以上の許容支持力を有する地盤最上部+10m』(法2条1項2号,施行令2条1項,3項)
※『法』=大深度地下法,『施行令』=大深度地下法施行令


問題となるのは、建物の上空300mから100km高度までの空間の所有権である。やはり所有権は国家に属すると考えるべきであろう。そうすると、この問題の高度をGoogle社の気球が自由に飛びまわるには、関係する国の許可を前もって得ておく必要が生じることになる。気球の行き先は風まかせである。気球は世界中のどの地点へも飛んでいく可能性がある。結局のところは世界中の国より許可を得ておく必要が生じることになる。

もし、許可を得られない国があるとすると、その国は気球を撃墜してもいいという理屈にはなるが、気球が成層圏を飛行しているとすると、まずはその気球の発見、次いで、その気球の撃墜という段取りが必要となる。実際問題として効率的な撃墜が可能なのか? 高性能レーザー砲でもあれば話は別であるが。

以上のように、私が思うに、この気球を用いた電波伝達網は空中のインターネットWebであり、大変魅力的ではあるが、技術的に完成を見たときに、解決しなければならない国際法上の問題がまだ残っていると思った。記事からはGoogle社はある地点より気球を打ち上げ、ある地点でその気球を回収する方法で考えていると読み取れるのだが、現実問題としては、気球の運行は風まかせなのでなかにはあらぬ方向に飛んでいくものもあるだろうし、なかにはコントロールが効かなくなって飛び続けるものも出てくるだろう。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
高圧送電線の近くには建造物を建てることは出来ないこともあります。
http://chosa1.com/column012.html

まず、送電線の電圧によって、建築規制が変わってきます。
(関係法・省令:電気事業法、電気設備に関する技術基準を定める省令)
電圧(ボルト) 離隔距離 (東京電力推奨値) その他
22,000V 3.00m以上 3.0m以上 屋上使用時は屋上床面より5.0m以上離隔
66,000V 3.60m以上 4.0m以上 同6.0m以上離隔
154,000V 4.80m以上 5.0m以上 同6.0m以上離隔
275,000V 6.60m以上 7.0m以上 線下建造物築造禁止
500,000V 10.05m以上 11.0m以上 線下建造物築造禁止

離隔距離とは、電線がもっともたるんだ状態、または電線が風の影響によりもっとも揺れた状態における 電線と建築物との間に必要な安全距離です。電線ケーブルは、主として中心をスチール(鉄)、外周部を アルミや銅によって構成されており、夏に暑い時期に最もたるみます。
匿名
2014/12/13 08:41
落ちた気球は回収しないだろうな?
匿名
2014/12/14 11:17

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