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zoom RSS シャープの登録商標「IGZO]が知財高裁で無効審判となった

<<   作成日時 : 2015/02/25 22:11   >>

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シャープの液晶の登録商標「IGZO]が知財高裁で無効と判定された。一般名称であるもの、この場合は化合物名、をそのまま商標として使うのは問題であるというのがその理由である。これは、たとえば、石油元売りが自社の商品の商標に「ガソリン」を用いて良いか、という問題と等価であると考えるとわかりやすい。一般になれ親しんでいる「ガソリン」という名称がある日から突然に特定の会社の商品名となったら、これは問題である。

商標法のこの部分に触れたのだと思う。商標法は下に引用した。


十  他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十五  他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)


IGZOは科学技術振興機構(JST)が1985年に研究を始め、その成果を企業に提供したものである。公開特許としてIGZOの名称が請求項中に最初に出てくるのは下に示した出光の特許であり、この特許の公開年2008年(出願は2006年)はシャープが商標を取得した2012年よりも前である。

シャープがIGZOを商標として利用するには、少なくともシャープ自身が独自の力でIGZOを研究・開発したという事実が必要であると、私は考える。実際にはJSTが開発した技術を量産技術に高めたものであり、IGZOという名称が生まれ一般に認識されていた時にはシャープは関わりを持っていなかった。シャープの一番最初のIGZOに関する特許出願は2009年になされたものである。

一般名称として使われていた言葉を商標として取り込む要件は何か。

たとえば、「うどん」では商標登録は不可能だろう。これはあまりにも一般化しすぎており、上で示した「ガソリン」と同じことになる。それでは「さぬきうどん」ではどうか。もし、この「さぬきうどん」が全国的に知られていなくて、「さぬきうどん」が一地方のみに流通しているのであればその商標化は可能であるように感じられる。しかしながら、いまや全国区。「さぬきうどん」を讃岐の業者あるいは組合が商標化すれば、日本全国の「さぬきうどん」店に与える影響が大きいと考えられるので、これは難しい。したの記事に示したように、讃岐の組合が設定したロゴは認められたが、やはり「さぬきうどん」は商標化できていないようである。

これと対照的なのが「釘煮(くぎに)」である。最近でこそ有名になったが、その知名度が大きくなかったときに商標化されたようである。最近はこの「くぎ煮」も全国区となったので、現時点で初めて「くぎ煮」を商標化しようとしても、おそらく不可となるだろう。「釘煎(くぎいる)」といっていたものを「くぎ煮(くぎに)」として商標登録したところも知恵である。


IGZOはシャープの生命線でもある。きっと最高裁判所へと上告するであろう。



朝日新聞digital 2月25日

シャープ液晶「IGZO」商標は無効 知財高裁判決

 スマートフォンなどに使われるシャープの高精細・省電力液晶「IGZO」の商標登録を無効とした特許庁の判断を不服とし、同社が取り消しを求めた訴訟の判決が25日、知財高裁であった。設楽隆一裁判長は、同社の請求を棄却し、IGZOを同社の商標と認めなかった。

 確定すれば、他の企業も使えるようになるが、シャープが製品名に使えなくなるわけではないという。

 IGZOとは、亜鉛などからなる複合物質の略称。同社はこれを使った液晶の量産化に世界で初めて成功した。IGZOをそのまま製品名にして2011年に商標出願し、特許庁がいったんはこれを認めた。

 だが、この物質の活用技術の特許を持つ科学技術振興機構(JST)が13年、「商標法は原材料名は商標に使えないと定めている」として登録無効を特許庁に求めた。同庁が認めて登録を無効とした。シャープが昨年4月、「すでに製品名として浸透している」として提訴していた。



IGZO(Wikipedia)

IGZO(イグゾー)は、インジウム (Indium) 、ガリウム (Gallium) 、亜鉛 (Zinc) 、酸素 (Oxide) から構成されるアモルファス半導体の略称で、これを利用する液晶ディスプレイ形式の呼称でもある。

1985年、科学技術庁無機材質研究所が結晶IGZOの合成に初めて成功した。

2011年7月20日、韓国サムスン電子へライセンス供与を開始した。
この特許は私たち科学技術振興機構(JST)のプロジェクトの研究成果を基にしており、発表直後から「日本の研究成果をライバルの韓国企業に売るとは何事か」といった批判が多数届いた。実際には、特許権を有するJSTはサムスン電子と話をする前に、多くの日本メーカーには声を掛けている。ところが、どの企業も「これまで実績のある材料で十分」などの理由でライセンス契約に至らず、断られている。

2012年1月20日、シャープへライセンス供与を開始した。
同年、シャープが商標権を取得している。

同年、シャープが富士通、ソニー、東芝への供給を発表する。
2014年、シャープが中国の北京小米科技へ大量供給することが報道された。


日本で最初に公開された「IGZO]を請求項に含む特許
画像



「IGZO」をタイトルか請求項に含む特許公開 191件   
    このうちシャープが出願のもの      10件  こちらにPDFが 一番最初の出願は2009年


「IGZO」をタイトルに含む特許公開        14件  こちらにPDFが




共同通信 2011年4月28日

「本場さぬきうどん」商標登録 香川、組合ロゴで申請

 香川県内のうどん店が加盟する「本場さぬきうどん協同組合」(高松市)は28日、「本場さぬきうどん」のロゴの商標が特許庁から登録を認められたと発表した。「本場さぬきうどん」の名称も同時に登録申請したが、結論は出ていない



産経ニュースWest 2012年5月19日

「くぎ煮」ブランドを守れ 兵庫県の業者が協会設立へ

 瀬戸内海に春を告げるいかなごの新子(しんこ、稚魚)漁。播磨灘から大阪湾にかけての海域で早春に解禁され、それを砂糖やしょうゆ、みりん、ショウガなどで炊く「くぎ煮」は、春の風物詩として定着している。しかし、全国的に有名になるのにともない、各地で同じようなものが作られて出回るようになった。それ自体、何ら問題はないが、事態を憂慮した兵庫県の業者らが“本家”のブランドイメージを高めようと、「いかなごのくぎ煮振興協会」の設立に動き始めた。

 「くぎ煮」の起源は定かではないが、昭和10年に発刊された当時のグルメ本「滋味風土記」に「釘煎(くぎいり)」として紹介されており、そのころにはすでに広く出回っていたとみられる。

 何気なしに「くぎ煮」と呼んでいるが、この名前が商標登録された商品名であることは意外と知られていない。神戸市長田区にある珍味食品メーカーの伍魚福(ごぎょふく)が昭和62年10月に商標登録した。





商標法

(商標登録を受けることができない商標)
第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
一  国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標
二  パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標
三  国際連合その他の国際機関を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標
四  赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律 (昭和二十二年法律第百五十九号)第一条 の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 (平成十六年法律第百十二号)第百五十八条第一項 の特殊標章と同一又は類似の商標
五  日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの
六  国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標
七  公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標
八  他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)
九  政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)
十  他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十一  当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十二  他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの
十三  削除
十四  種苗法 (平成十年法律第八十三号)第十八条第一項 の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十五  他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)
十六  商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標
十七  日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの
十八  商品又は商品の包装の形状であつて、その商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標
十九  他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)
2  国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者が前項第六号の商標について商標登録出願をするときは、同号の規定は、適用しない。
3  第一項第八号、第十号、第十五号、第十七号又は第十九号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。



追加情報

日本経済新聞 2月26日

画像




産経新聞 3月11日

IGZO訴訟の上告断念 シャープ、商標取り消しに

※ 会社の屋台骨が傾いているときに、こんなことをしている場合ではないということでしょう。




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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
1)公知の事実は著作権の保護対象ではないですね。

2)「讃岐うどん」という名のうどん店では、本場讃岐うどんとは似ても似つかないうどんを出しています。

3)出光興産中央研究所は石油とは関係ないことも研究しているのですね。
該研究所は石油を造る藻の研究をしていました。
匿名
2015/02/26 08:47

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