出会いの場、研鑚の場としての技術士業務研究会

 もうかれこれ20年も昔の話になると思うのだが,鮮明に記憶していることがある。大阪技術振興協会の業務研究会例会での織物の話で,経糸・緯糸という言葉を知っていると業者から一目置かれるとあった。私たちの言葉では縦糸と横糸であるが,織の世界では縦横が入れ替わることがあるらしく,経糸・緯糸というようである。この話を中島みゆきの「糸」を聴きながら時折思い出す。♪なぜめぐり逢うのかを私たちはなにも知らない いつめぐり逢うのかを私たちはなにも知らない 縦の糸はあなた 横の糸は私 織りなす布はいつか誰かを暖めうるかもしれない♪

 話は少し横道にそれるが,西欧の大学ではリベラルアーツ教育(人が持つ必要がある実践的な知識・学問の基本となる教育)が重視されている。これは,専門教育を受ける前の土台づくりである。大学ではこのリベラルアーツと,さらに基礎学問3分野で単位を取得して学部を卒業する。その後,専門的に勉強したいものは大学院へと進む。日本はこの世界の流れと逆行している。かつては大学2年時まであった教養課程科目が削減され,その時間が専門科目に割り振られた。戦前に目を向ければ,旧制高校において同じ釜の飯を食いながら「人生とは・・」と熱い議論を交わしていたわけだから,その様変わりには大きなものがある。

 従前は,人と人との交わり,そしてディベートや協働を通して生きる意味や学問する意味をつかみ取り,その後のバネとしてきた。だからこそ,建設的な仕事を成し遂げられたのだと思う。若い人をみていると,テレビや新聞には無縁で,情報はコンピュータやスマホなどの電子ツールから入手している場合が多い。この方法では,新聞などから得られる情報の幅の広さは期待できない。

 技術士業務研究会の特徴は,あらゆる分野の技術士がいることである。そして例会においてはそれぞれの立場でお話をされるので,他の分野の技術士にも,その話された分野の概要が,その分野の思考法と共に耳学問として記憶される。得られる情報はその幅広さより新聞からのそれに例えることができ,このことからも,技術士業務研究会は技術士の持っているべき広い教養が得られる場として機能しているといえよう。これが技術士業務研究会の魅力の一つである。

 世の中,専門性が一つではダメと言われて久しい。好ましくは専門性が三つ以上といわれる。技術士業務研究会では,多くの専門性を,新聞記事よりも詳細に,しかもその道理を解説しながらメンバーに提供する仕組みができている。この仕組みは私たち技術士にとって永久に続くリベラルアーツ教育の一環でもある。そして提供された情報を有機的に結び付け,私たちの持つ糸に多くの専門性という色彩を加え,成果を編み出す原動力とする。協働により織り上がる布地は美しい。♪織りなす布は常に誰かを暖め続ける♪ 


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     フェイスブック 畑 啓之          https://www.facebook.com/hiroyuki.hata




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