「化学反応の関与する事故を中心に」 説明資料18 三菱マテリアルのシリコン設備爆発事故
三菱マテリアルの冷却器爆発事故について解説する。
この事故はシリコン製造施設の多管式冷却器を取り外し、冷却管内部にこびりついた付着物を取り除く作業(非定常作業)をしていた時に、突如爆発が起こったものである。
冷却管内部にはスライド1に示されているようなSi-Si-Si・・・ポリマー鎖があり、各々のSiからはさらに2本の腕が伸び、最終的にはその腕の先にはH、CL、あるいはOHが結合しているポリマーが形成されたものと考えられる。そして、冷却管中にこびりついたこのポリマー様の付着物を物理的に取り除こうと、何らかの力を加えた時に激しい爆発が起こった(と推測している)。
実際に考えられるSiポリマーを別途合成し、その安全性を確認した結果がスライド2である。この結果より、問題のポリマーは打撃感度が高いことがわかり、衝撃により爆発する可能性のあることが示唆された。
この爆発に関しては、原因がこれだとわかっても、本当にそのようなことが起こるのというのが私の感想である。まさかこんなものが爆発するとは誰も考えもしなかったのではないかと、私は今でも思っている。
この事例は、「どこまで安全を追求すれば、化学プラントの事故が防止できるか」に対する新たな問いを投げかけるものである。これに似た事例として、説明資料33(後日掲載の予定)のスライド1がある。ドイツのオッパウ大爆発である。これは、硫酸アンモニウム・硝酸アンモニウム複塩の塊を砕くためにダイナマイト破砕したときに、突如として大爆発が起こったというもので、この作業は今までに事故なく3万回以上実施されてきていた。
三菱マテリアルの今回の事故も、いままでは何度となく同じ方法で冷却管の清掃が行われ、何事もなく来ていたものと推量される。
安全への取り組みの奥深さとある意味苦悩を感じさせられる事故である。
本ブログの記事は、私のホームページ「アルケミストの小部屋」に掲載の「化学反応の関与する事故を中心に」より抜粋したものです。
下の(解説)では、94ページからなるPDF資料をその内容に従って37の部分に分け、各部分ごとに解説を加えています。
本一連のブログではその解説の1~37を順次紹介することを目的としています。
ホームページにおいては必要に応じて「説明資料」間でのリンク、あるいは外部記事(Web)とのリンクを張っていますが、このブログではその多くを省略しています。
資料全体の詳細を確認したい場合には下に示した(解説)となります。
ホームページ アルケミストの小部屋
化学反応の関与する事故を中心に(PDF)
化学反応の関与する事故を中心に(解説)
フェイスブック 畑 啓之
この事故はシリコン製造施設の多管式冷却器を取り外し、冷却管内部にこびりついた付着物を取り除く作業(非定常作業)をしていた時に、突如爆発が起こったものである。
冷却管内部にはスライド1に示されているようなSi-Si-Si・・・ポリマー鎖があり、各々のSiからはさらに2本の腕が伸び、最終的にはその腕の先にはH、CL、あるいはOHが結合しているポリマーが形成されたものと考えられる。そして、冷却管中にこびりついたこのポリマー様の付着物を物理的に取り除こうと、何らかの力を加えた時に激しい爆発が起こった(と推測している)。
実際に考えられるSiポリマーを別途合成し、その安全性を確認した結果がスライド2である。この結果より、問題のポリマーは打撃感度が高いことがわかり、衝撃により爆発する可能性のあることが示唆された。
この爆発に関しては、原因がこれだとわかっても、本当にそのようなことが起こるのというのが私の感想である。まさかこんなものが爆発するとは誰も考えもしなかったのではないかと、私は今でも思っている。
この事例は、「どこまで安全を追求すれば、化学プラントの事故が防止できるか」に対する新たな問いを投げかけるものである。これに似た事例として、説明資料33(後日掲載の予定)のスライド1がある。ドイツのオッパウ大爆発である。これは、硫酸アンモニウム・硝酸アンモニウム複塩の塊を砕くためにダイナマイト破砕したときに、突如として大爆発が起こったというもので、この作業は今までに事故なく3万回以上実施されてきていた。
三菱マテリアルの今回の事故も、いままでは何度となく同じ方法で冷却管の清掃が行われ、何事もなく来ていたものと推量される。
安全への取り組みの奥深さとある意味苦悩を感じさせられる事故である。
本ブログの記事は、私のホームページ「アルケミストの小部屋」に掲載の「化学反応の関与する事故を中心に」より抜粋したものです。
下の(解説)では、94ページからなるPDF資料をその内容に従って37の部分に分け、各部分ごとに解説を加えています。
本一連のブログではその解説の1~37を順次紹介することを目的としています。
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