技術⼠⼀次試験基礎科⽬ この問題が難しい H29 モル沸点上昇

平成29年度




H29-1-4-2  正答 ⑤

この問題は水溶液のモル沸点上昇に関する問題です。水の沸点は100℃ですが、ここに溶質が1mol/リットルの濃度で溶解すると、沸点が0.52℃上昇し、100.52℃がその沸点となります。この沸点上昇の大きさは溶解している溶質のモル濃度に比例します。

問題では、NaCl、ブドウ糖、CaCl2のいずれもが0.10モル/kg-水溶液に溶解しています。この記述からすると、この3者ともにモル沸点上昇の大きさは同じであると結論してしまいそうです。しかしながら、NaClとCaCl2は水溶液中において次のようにほぼ完全に電離してイオンとして存在しています。
       NaCl  →  Na+ + Cl-
       CaCl2  →  Ca2+ + 2Cl-
NaClは0.10モル濃度で溶解しているが、実際にはモル沸点上昇には0.20モル濃度で効いてきます。同様に、CaCl2は0.30モル濃度で効いてきます。一方、ブドウ糖は電離することはないので、そのまま0.10モル濃度です。この結果より、CaCl2溶液の沸点が一番高くなります。


(参考1)
沸点上昇
不揮発性の溶質を溶媒に溶解させると蒸気圧降下が起こり、溶液の沸点が上昇します。沸点上昇度は溶質の種類にかかわらず溶質の重量モル濃度に比例します。重量モル濃度とは、溶媒1キログラム 当たりに溶けている溶質の物質量(モル)で表す濃度で、単位は mol/kgです。
溶質(溶解されるもの)が電離および会合していないという仮定の下で成立する式であり、溶質がイオンに電離する場合は電離により生じる全粒子数を考慮した濃度を用いなければなりません。ファントホッフの因子による補正が必要となります。

(参考2)
浸透圧
浸透圧の計算においてはファントホッフの法則があります。ここでもNaClやCaCl2が水中で電離すると2倍、3倍に効果を発揮します。
ΠV=nRTという気体の状態方程式と同じ関係式が成り立つことをファントホッフが発見しました。この関係を浸透圧に関するファントホッフの法則といいます。
モル濃度は溶質粒子の総粒子量のことなので、電解質の場合は沸点上昇や凝固点降下と同様に電離式を書いて、総物質量を出しておく必要があります。
例えば、塩化ナトリウム(NaCl)の場合は電離してイオン(Na++Cl-)になり非電解質の2倍の粒子量(粒子数)になるので、同じ物質量(モル濃度)溶かした溶液では非電解質の場合の2倍の浸透圧を示すということです。



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