文明の始まりは「火」 今の子供たちは「マッチ」を擦ったことがあるか?

ギリシャ神話によるとプロメテウスが人間に火を与えた。これにより、人間は他の動物から識別され、文明を築いていくことになる。その文明の終着点はどこか。人類はどこを目指しているのか。それは誰にもわからない。ただわかっていることは、今日の生活を昨日よりも快適に、そして明日の生活を今日よりも快適に、ということだけだ。これは、プラス方向へのみへと変化する曲線的な考え方だ。

この考えに従って人類は成長を遂げてきた。科学を進歩させ、原子力を発明して大きなエネルギーを作り出せるようになった。人類はどんな物でも征服できるとの自信を持った。エネルギーでは核融合に挑戦してこの地上に太陽を出現させようとしているし、宇宙開発では人類を火星に送ろうとしている。地を這う動物からの大きな脱皮である。

改めて生活を見渡してみると、室内は電化製品で囲まれ快適となった。食事を作るにも電磁誘導加熱が使われ、実際に火が燃えているのを見る機会のない子供たちも増えている。「マッチを見たことある?」と質問すれば「それ何?」との答えが返ってきそうで、いささか心配である。プロメテウスが人類を哀れと思って与えた火は、原子力、原爆、水爆と形を変えて世界を焼き滅ぼすまでに大炎となった。その一方で、プロメテウスが与えた火、燃える火を見たことのない、「マッチ」を擦ったことのない子供たちも増えているのではないだろうか?

科学は基礎から積み上げられるべきものである。基礎を忘れて出現した科学技術にはどこかに大きな落とし穴がある。ささやかに燃えるマッチの火、ローソクの火を見て文明の有難味を再認識することは、文明の意味を知る上でも重要と考える。


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