水素社会の到来を素直に捉えた東芝の水電解~水素燃料電池システム

水素社会がやってくると言われて久しいが、その水素の源を何に求めるかの議論は避けられてきたのではないだろうか。まず先に水素社会ありき、そして水素社会という既成事実を作ってしまえば、水素などはどこからでも湧いてくるとの考えが支配していたと思うし、まだその考えは主流であるだろう。

一般的には水素は石油のクラッキングにより生み出される。例えば、石油をオクタン(C8H18)という飽和炭化水素で代表すると、これからエチレン(CH2=CH2)を製造する際に、水素が発生してくる。

       CH3(CH2)6CH3 → 4CH2=CH2 + H2

また、最近流行りのシェールガス(その主成分はメタンCH4)からは次の式に従って水素が得られる。エネファームはこの式に従って水素を作り出し、その水素を用いて発電を行っている。

       CH4 + 2H2O → 4H2 + CO2 + 吸熱

しかしながら、この方法では水素の発生に熱エネルギーが必要となるし、CO2も生み出される。

現在、いたるところで急速に太陽電池が設置されてきている。電力会社はこの発電で得られた電力の買取義務を有するが、その最大発電量が非常に大きくしかも発電量が時間とともに大きく変化するため、電力の安定供給が保証できないと電力各社はその受け入れに何色を示している。

太陽光発電の持つこの問題点を解決する一つの手段は、大容量の蓄電池を利用することであるが、その設置費用が高いこと、また、その運用寿命にはまだ解決すべき問題点があることより、こちらの方はバラ色の解決策とは考えられていない。

今回、日本経済新聞が東芝の技術を紹介した。この技術は、太陽電池などで得られた電力で水を電気分解して水素として保存し、必要に応じてこの水素を燃料電池に送り込んで電力へと再生させるというものである。

私見ではあるが、電気分解であると水より直接に高圧の水素ガスを作ることも可能であるので魅力的である。さらに、この方法はCO2を発生しない方法であり、水素社会の本来あるべき姿を提案しているものと理解している。



日本経済新聞 1月16日

東芝、水素使い電力貯蔵 設置費用は蓄電池の半分

 東芝は水素を使い電力を大量貯蔵するシステムを2020年にも実用化する。水を電気分解していったん水素にし、必要に応じ燃料電池で酸素と反応させ電気として取り出す技術にめどをつけた。既存の蓄電池に比べ電力を長期に大量保管しやすく、設置・運用費は半減できるという。(4万キロワット蓄電設備の設置コストは20億円近くとされる。)再生可能エネルギーの発電事業者や自治体などにとって蓄電方式の選択肢が広がりそうだ。

 まず1万世帯が8時間使う電力に相当する4万キロワット時を蓄えられるシステムを提供する。
 


東芝レビュー Vol.68 No.7 (2013)

再生可能エネルギーを活用する水素電力貯蔵システム

充放電効率が80%、コスト面では大容量、長時間蓄電の適用に有利

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固体酸化物型燃料電池からなるセルスタック部は、電解膜の性能を上げるために約800℃の高温としている。

高温蓄熱装置

800℃付近に融点を持ち、コスト当たりの蓄熱量が大きい材料を調査し、NaCl(塩化ナトリウム)を選定した。NaClの高温での耐食性を考え、SiC(炭化ケイ素)のカプセルにNaClを封入している。

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