X線天文衛星「ひとみ」をコントロールするプログラムにはシミュレータはなかったのか? の疑問

開発に310億円を投じた「ひとみ」も、プログラム中の「+」と「ー」の一字の違いにより文字通り宇宙の塵と化しました。人工知能(AI)とは言いませんが、せめて作ったプログラムの作動を確認するシミュレータがあればこんなことは起こらなかったと思います。異常調査報告書の中には「シミュレータ」の文字はありませんでした。

X線天文衛星ASTRO‐H「ひとみ」 異常事象調査報告書(JAXA、5月24日)

 ②検証の漏れ
  運用支援業者は生成したスラスタ制御パラメータをシミュレーションで確認しなかった。
  運用支援業者の担当者間で、口頭でシミュレーションを依頼したが、スラスタ制御パラ
   メータの変更による検証の必要性が相手に伝わらなかった。また結果確認を実施しな
   かった。

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さて、AIといえば、日本政府も2020年までにタクシーの自動運転を認めるとの方針を出しました。日本も負けてませんね。自動運転タクシー 2020年までに実用化へ(NHK、5月20日)。このニュースを受けてか、同じ5月20日の日本経済新聞には、丸一面を使った自動運転の広告が出ていました。曰く「人為ミスによる事故減らす自動運転」 自信満々ですね。

AIの力を借りれば人が急に道路に飛び出してきても、きっと危険回避行動をとってくれるものと思います。しかし、田舎道を走っていてよく経験する、道路上に鳥がいた場合とか、目の前を鳥や猫、イタチが横切った場合などはどうなるのでしょう。回避するか踏み殺すか、きっと人間にとって安全な方をAIが選択するのでしょう。

今回の「ひとみ」の「+」「-」ではありませんが、起こり得るすべてのケースに備えてAIを教育しておく必要があります。そうでなければ、無人タクシーには怖くて乗れません。

とは言いながらも、ありとあらゆる失敗を重ねて安全が確認できた時には、免許を持たない田舎の老人の安価な足として、この無人タクシーが貢献してくれることと大いに期待しています。自動運転には「ひとみ」のケースとは違って多少の失敗は許容され、多くの見直しのチャンスがあります。



朝日新聞 5月24日

衛星ひとみ、プログラム設定に人為ミス JAXA報告

 4月末に運用を断念したX線天文衛星「ひとみ」の事故原因を検証する、文部科学省小委員会が24日開かれ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、異常回転を始めたひとみを立て直すプログラムの設定に人為ミスがあり、正常に作動しなかったと報告した。設定が適切なら、ひとみの運用を続けられた可能性があったという。

 JAXAによると、打ち上げ後の2月までに、異常時に作動する「セーフホールドモード」のプログラム設定を手入力で変更し、衛星に送信した。この際、ひとみを運用するメーカーの担当者が、本来プラスの値を入力する項目にマイナスの値を入れていたという。メーカーやJAXAも確認していなかった。



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