書籍 「反原発」の不都合な真実 は評価が真っ二つ
「反原発」の不都合な真実(藤沢数希著、新潮新書、2012年2月)はその評価が分かれている。その状況は下に示すとおりだ。表は時系列順および評価順に並べた。表中の項目には少しダブりが出てしまったが、その評価に付けられた表題で、本書に肯定的か、否定的かの判断のつくものもある。興味深いのは、時間の経過によっても本書の評価が別れたままということと、評価の高低にかかわらず、書評が参考になったと回答する割合がそんなに変化しない点である。参考になったと答えた割合は、評価5:46%、評価4:43%、評価3:52%、評価2:59%、評価1:54%となっている。
本書の評価も5~1で大きく分かれ、各評価に属する書評が参考になった割合もほぼ50%近くになっている。このことは、本書の内容とは関係なく、潜在的に原発賛成派と原発反対派がほぼ50%ずつであると考えると理解しやすい。各書評に付けられたコメント欄を読んでみてもそのことが感じられる。
本書は、原子力発電に関する非常に幅広い事柄を取り扱っている。従って、この紙数では舌足らずの部分が出てくるのはいたしかたないことであると思う。また、原子力の専門家でないと自己紹介している著者がこれだけ多くの情報を集め、まとめて本に仕上げたということには敬服する。
出来がいい書籍とか出来が悪い書籍と、すぐに白黒つけたがるのが人間であるが、本書への手厳しい書評にあるような「ド素人の書いた本」(全く意味をなさない書籍)などはないと思う。読者が万能でない限り、どのような書籍にも必ず得るところはある。私も教えられる部分があった。
各項目については、書評で指摘されているような多少の誤りはあるかもしれないが、よくまとめられていると思う。従って、全体を見たときに整合性があるかどうかというところが評価の分かれるところとなるのであろう。全体的には、原子力発電(そして原子力そのもの)は安全で、なおかつ経済的であるというところに軟着陸させるのに苦労している感がある。
安全ならばなぜ福島の事故が起こった? ヒューマンエラーであるからそこを強化していけば安全性が高まる? そこが、原子力発電反対派の心に受け入れられない理由であると思う。
これだけはっきりと評価が分かれる書籍も珍しい。本書を読み、アマゾンに付けられた書評を読むと、原子力および原子力について新たな発見がきっとあると思う。その発見により、原子力発電賛成派に向かうか反対派に向かうかはその結果論である。まずは決めつけずに読んでみることだ。
紀伊國屋Web書店
内容説明
3.11以降、原発を絶対悪と決め付け、その廃絶こそが「正義」という論調がマスコミでは吹き荒れている。しかし、この世にリスクのない技術は存在しない。原子力を代替するはずの「自然エネルギー」の実力のみならず、転換するリスクや懸念材料を冷静に見つめるべきではないだろうか。そんな感情論を超えた議論のために、原子力技術、放射線と健康被害、経済的影響を検討し、将来を見据えたエネルギー政策を提言する。
目次
第1章 原子力で命を守りたい
第2章 放射線のリスクとは?
第3章 自然エネルギーの不都合な真実
第4章 化石燃料と地球環境問題
第5章 救える命の数は経済の豊かさに比例する
第6章 原子力を理解する
第7章 エネルギーの未来
出版社内容情報
太陽光や風力発電は原発の代わりになりえるか? 全エネルギーをリスクと将来性から冷静に比較する。
太陽光や風力発電は原子力の代わりになりえるのか? 原発廃絶が「正義」となった今、改めて全電力のリスクと将来性を比較すると、意外な結論に! 日本の命運を決めるエネルギー問題について冷静に論じた一冊。
アマゾン 書評
591 人中、422人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 実証性と論理が弱い, 2012/3/4
By
lucky_dog
書評の内容についてはアマゾンでご確認ください。
この書評に対するコメントがなされています。
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本書の評価も5~1で大きく分かれ、各評価に属する書評が参考になった割合もほぼ50%近くになっている。このことは、本書の内容とは関係なく、潜在的に原発賛成派と原発反対派がほぼ50%ずつであると考えると理解しやすい。各書評に付けられたコメント欄を読んでみてもそのことが感じられる。
本書は、原子力発電に関する非常に幅広い事柄を取り扱っている。従って、この紙数では舌足らずの部分が出てくるのはいたしかたないことであると思う。また、原子力の専門家でないと自己紹介している著者がこれだけ多くの情報を集め、まとめて本に仕上げたということには敬服する。
出来がいい書籍とか出来が悪い書籍と、すぐに白黒つけたがるのが人間であるが、本書への手厳しい書評にあるような「ド素人の書いた本」(全く意味をなさない書籍)などはないと思う。読者が万能でない限り、どのような書籍にも必ず得るところはある。私も教えられる部分があった。
各項目については、書評で指摘されているような多少の誤りはあるかもしれないが、よくまとめられていると思う。従って、全体を見たときに整合性があるかどうかというところが評価の分かれるところとなるのであろう。全体的には、原子力発電(そして原子力そのもの)は安全で、なおかつ経済的であるというところに軟着陸させるのに苦労している感がある。
安全ならばなぜ福島の事故が起こった? ヒューマンエラーであるからそこを強化していけば安全性が高まる? そこが、原子力発電反対派の心に受け入れられない理由であると思う。
これだけはっきりと評価が分かれる書籍も珍しい。本書を読み、アマゾンに付けられた書評を読むと、原子力および原子力について新たな発見がきっとあると思う。その発見により、原子力発電賛成派に向かうか反対派に向かうかはその結果論である。まずは決めつけずに読んでみることだ。
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3.11以降、原発を絶対悪と決め付け、その廃絶こそが「正義」という論調がマスコミでは吹き荒れている。しかし、この世にリスクのない技術は存在しない。原子力を代替するはずの「自然エネルギー」の実力のみならず、転換するリスクや懸念材料を冷静に見つめるべきではないだろうか。そんな感情論を超えた議論のために、原子力技術、放射線と健康被害、経済的影響を検討し、将来を見据えたエネルギー政策を提言する。
目次
第1章 原子力で命を守りたい
第2章 放射線のリスクとは?
第3章 自然エネルギーの不都合な真実
第4章 化石燃料と地球環境問題
第5章 救える命の数は経済の豊かさに比例する
第6章 原子力を理解する
第7章 エネルギーの未来
出版社内容情報
太陽光や風力発電は原発の代わりになりえるか? 全エネルギーをリスクと将来性から冷静に比較する。
太陽光や風力発電は原子力の代わりになりえるのか? 原発廃絶が「正義」となった今、改めて全電力のリスクと将来性を比較すると、意外な結論に! 日本の命運を決めるエネルギー問題について冷静に論じた一冊。
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5つ星のうち 5.0 実証性と論理が弱い, 2012/3/4
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