超高密度炭素ネックレスは強力な遠赤外線を発している???

超高密度炭素でできたネックレスが強力な遠赤外線を発し、このネックレスを付けているだけで遠赤外線が体の奥まで到達し、その結果、体の芯から熱を発し、冷え性や肩こりを治すとの話が投稿サイトにあった。その内容について多少の裏付けデータを採ってみた。

質問とその解答を引用。質問が2012年9月17日、回答が2012年9月19日である。


遠赤外線を出す高密度炭素?

質問

最近、高密度炭素が遠赤外線を出すとか言って健康に良い商品を売りつけるのが流行っているみたいですが、どういうトリックを使っているのでしょうか・
http://ohki-techno.com/product.html
ここの少し下のほうに書いてあるものと同じなんですが、

・「特殊な高密度の」炭素の板
・普通の備長炭
・ガラス板

の3種を用意して、手で触ってどれも冷たいことを確認させてから、3種の板の上に氷を載せて、特殊炭素の板の上に乗せた氷だけがすぐに溶けるというものです。説明としては、この特殊な炭素から遠赤外線が出ているから、となっています。それでこの炭素を使ったネックレスを売りつけるというものです。

同じ温度なので、特殊炭素から遠赤外線がたくさん出ているというのは、ウソだと思いますし、よくある疑似科学の商品だと思いますが、どういうトリックで、特殊炭素の上の氷だけを速く溶かすことができるものでしょうか。熱伝導の差とかを使ってるのかなとも思いますが、何か考えられるものがありましたら教えてください。

解答のポイント

・ガラス:熱伝導率がとても低い物質→氷が溶けにくい
・備長炭:炭素自体は熱伝導率が高いが、①多孔質(スポンジ質)、②表面がざらざらなので氷との接触面積がとても小さく熱のやり取りが少ない
・炭素の板:熱伝導率がとても高い→氷が溶けやすい


この解答に多少の補足を加えると、

熱伝導率(Wikipedia)より、炭素の熱伝導率が他の材料に比べて桁違いに大きいことがわかる。これが、炭素板上に置かれた氷が速やかに溶融していく理由である。なお、化学プラントにおいては、大量の反応熱などを除去するときに、冷却器を小型化する目的で材質として炭素(カーボン)を用いる場合も多い。これも、金属に比べて炭素が熱を通しやすいことを利用するものである。最近は、コンピュータの基盤をダイヤモンド(炭素)として、CPUから出る大量の熱を逃がそうという話もよく聞かれるところである。

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論理的には次のステップがつながって初めて健康に良いということになる。①超高密度炭素ネックレスが強力な遠赤外線を発している→②その遠赤外線が体の奥まで到達する→③体内部に到達した遠赤外線の作用により組織の温度が上がる→④組織温度の上昇が冷え性や肩こりを治す。この①から④までの全てが起こって、初めて高密度炭素ネックレスが健康に良い効果を及ぼすということになる。

①高密度炭素ネックレスが・・・・
 このネックレスが遠赤外線を発しているかを確認することが必要。
②遠赤外線が体の奥まで到達する
 遠赤外線は放射光であるので、エネルギーは空間を通して移動する。実験で、炭素板上に氷を置くのではなく、板上数ミリの位置に氷を近づけても、この氷は高密度炭素板より放射された強い遠赤外線を受けて同じように容易に融解するはずである。簡単にできる実験であるので、その結果がどうなるかが興味深いところである。
 なお、非営利一般社団法人遠赤外線協会によると、 「『遠赤外線は体に深く浸透するので、体の芯から温かくなる』というように書かれた暖房器具の広告が見受けられますが、これは誤りです。遠赤外線の持つエネルギーは、皮膚表面から約200μm(0.2mm)の深さで、ほとんど吸収されてしまい、熱に変わります。(図4参照) その熱が血液などにより体の内部(芯)まで効率よく伝わり体を温めているのです。」とある。
③体内部に浸透した・・・・  ④組織温度の上昇が・・・
 ②の記事より体内には浸透しません。④も②の記事にあるとおりです。この項目は医学に関することです。この部分に特殊な情報を与えてくれているのが、上の質問者が示してくれているアドレス(ホームページ)である可能性があります。

以上、①→②で分断が起こっている可能性があります。①~④のどこかで分断が起こってしまうと論理的にはネックレスの効力が発揮できないことになります。私には、この高密度炭素ネックレス(正式には等方性黒鉛かと思うのですが)の効力については、現時点ではまだ理解できていません。


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