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zoom RSS おめでとうございます 努力の人・中村修二さんのノーベル賞受賞

<<   作成日時 : 2014/10/08 06:29   >>

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中村修二さんのノーベル賞受賞は、日本の科学技術の高さを証明したことは勿論ですが、それ以上に世界に通用する研究開発の進め方を示したことに対する受賞だと私は思っています。よく、研究はセレンディピティだ、偶然の発見がノーベル賞に結びついたなどと言われることがありますが、中村修二さんについては、決して偶然などではなく、明確な目標を持ってそこに向かって歩んだ結果が昨日の受賞につながったと私は確信している次第です。


中村修二さんは物理学賞? それとも化学賞?

ノーベル賞とは、際立った発明・発見、あるいはその端緒を与えたことに対して与えられるというのが通念かと理解しています。この通年に照らすと、中村修二さんの場合はどうでしょう。

GaNができること、それが青色LEDの機能を果たすことは知られていました。セレンディピティなどではないですね。実用化できるGaNを作るという明確な目標を持っての研究成果です。

今回、中村修二さんが受賞した理由は、GaNを工業化レベル、経済レベルまでに引き上げた功績でしょう。技術力の勝利ですね。

そうすると、中村修二さんの受賞は何賞になるのでしょうか?

物理学賞? 機能発現の原理原則には関与していません。
化学賞?  GaNの製法と機能はわかっていました。

工学賞!! 物の作り方を極めた。これですね。

もしも、中村修二さんがノーベル賞を受賞するならば、工学賞以外にはないでしょう。
ノーベル財団が「工学」の重要性を認めた意味ある今回のノーベル物理学賞であると思います。

日々研鑽。死ぬほどに頭を使って「不可能」を「可能」に!
企業の研究者のあるべき姿だと思います。



以下の本日のブログは、7月30日の私のブログをここに採録しました。



中村修二さんが教える研究開発のツボ、これを外しては画期的新製品は生まれない

会社の研究所で研究開発を行っている時にしばしば上司から投げかけられる言葉がある。「それは教科書に載っていますか」「他社はそれを実施していますか」など。どこかで同じような研究がなされていれば、自社の研究の方向性も正しいものとして安心するという上司の心理が現れた言葉である。逆に、ひとたび教科書に載っていないような新事実や、化学で言えば新合成法を見出した時には、上司は慌てふためき、場合によってはその事実や発見を葬ろうとさえすることさえある。上司は、自分の能力の範囲ではその事実が理解できず、上司の上司にどのように報告するかを考えてしまうからである。

このようなことを繰り返していると、会社としての技術力も低下してくるし、もちろん競争力も低下してくる。今までにない新しい何かを見出し、それを応用して社会に利便を提供していく。これが研究である。新しい「何か」が見出された時に萎縮するような上司がいる会社では、とうてい発展の余地がなくなる。

会社発展の要点のひとつは「どのような人を出世させるか」である。不勉強で常識的な人を優先的に出世させた場合には、その会社は万年、常識の罠から抜け出せなくなる。部下の人事考課も常識の範疇で行われ、育つべき人が育たなくなるからである。

研究テーマについても同様である。他社と横並びのテーマであれば安心しているようでは、会社の発展は望めない。「何か良いテーマはないか」と聞きながら「そのテーマは前例がない」とはじかれると、だれもテーマ提案をしなくなる。後に他社がそれを実施して成功した時には、当然のことながらそんな提案がなされたことすら忘れ去られている。

このブログでは中村修二さんが一番最初に著された書籍よりその一部を抜き出して紹介する。研究の本質がよく捉えられている。研究とはこのようなものという「常識」がわかる表現となっている。この書籍は良著であると思う。アマゾンで古書として安価に入手できるので、研究開発に携わっている人は一読されてはいかがだろうか。

参考までに、本書の目次、中村修二さんの書籍一覧、そして特許リストも示しておいた。




青色LEDで知られている中村修二さんは15冊の書籍を出しておられるが、ここで紹介するのはその中でも一番最初に出された御本である。研究に対する強い思い入れが記され、研究者にとっては研究に対する心構えを得るための良著である。

中村修二(Wikipedia)には「中村 修二(なかむら しゅうじ、1954年(昭和29年)5月22日 - )は、元日亜化学工業社員、電子工学者、工学博士。 高輝度青色発光ダイオードや青紫色半導体レーザーの製造方法などの発明・開発者として知られる」と記されている。


書籍『考える力、やり抜く力、私の方法』からの抜粋。必要に応じて一部並べ替え。

会社の言うように製品開発を進めることはたやすい。
しかし、それでは他社に、特に大手企業にはすぐに追い抜かれてしまう。

大きな夢を実現させるためには、まず独創性が必要となる。
独創的なアイデアというのは、もともと非常識で突拍子もないこと。
非常識なアイデアの中にこそ、発展とビッグチャンスが隠されている。
ものづくりの基本は、想像力にある。

独創的なアイデアが必要なのにもかかわらず、研究開発するにあたってコンピュータと同じことをやろうという人が多い。
常識の範囲で物事を考えても、それはいつまでも常識。
常識を超えるところにビッグチャンスがあるならば、たとえ可能性が薄いと周囲が見ても、非常識にかけてみることだ。
独断的だということは、非常に独創性があるということでもある。

勘だけで実験を進めていく。すると、本にも論文にも書かれていないことが起こってくる。
日本では勘や直観に頼るのを、どういうわけか嫌うところがある。
発明や発見の根本は単純なものである。
インスピレーションなど理屈では説明がつかないが、物事の本質を鋭くつかむ心の動きとある。本来、軽んずべきものではない。

私と他の研究者の大きな違いは、彼らがあまりにもよく定説や業界の常識を知りすぎていたために、一定の研究方法に引きずられてしまったことだ。
新製品の開発にあたっては、定説や常識などないものだと思ったほうがいい。
ここが肝心だという部分は「やっていれば自然に見えてくる」ものだ。
起きている現象を見逃さずにストレートに捉えることは、物理屋や技術屋にとっては最も大事なことになる。

自分流儀というものは、あることを徹底的に最後までやり遂げるところから生まれてくる。
自分流というのは、ある種独特の勘みたいなものだ。
自立した考えというものは、良かれ悪しかれ独創的な考えを生む。

人のまねをしない。純粋に自分の実験結果だけから判断する。
自分のノウハウが詰まった装置を駆使し、独創力を発揮できた。


一匹狼の方が世界をリードするものを開発してきたと言ったほうがよいだろう。

大きな成功を勝ち取る秘訣は、とにかく楽天的であることだ。
人生は偶然の積み重ねだと腹をくくっていれば、どんな境遇に置かれても「大丈夫だ」と思うことができる。

様々な難問が生じてくるのが新製品開発の仕事だ。
失敗の中にこそ可能性が隠されている。
障害を一つひとつ克服していった時、他の人には見えていない「何か」が見えてくる。

「コンチクショー」が強力なバネになる。
成功体験しかない人に強靭な精神力は望めない。



中村修二著 考える力 やり抜く力 私の方法  人の思惑、”非常識”を恐るな!
                           (三笠書房、2001年2月25日発行)

書籍の目次は、7月30日の私のブログに掲載しています。



中村修二さんの著書

単著
『考える力、やり抜く力私の方法』 三笠書房、2001年2月。ISBN 4-8379-1872-7。
『怒りのブレイクスルー 常識に背を向けたとき「青い光」が見えてきた』 ホーム社、2001年4月。ISBN 4-8342-5052-0。 (文庫版)『怒りのブレイクスルー』 集英社、2004年5月。ISBN 4-08-747704-5。

『21世紀の絶対温度 科学者の眼から見た現代の病巣の構図』 ホーム社、2002年4月。ISBN 4-8342-5064-4。
『好きなことだけやればいい』 バジリコ、2002年4月。ISBN 4-901784-00-5。
『Wild Dream - 反逆、闘い そして語ろう』 ビジネス社、2002年9月18日 1刷。ISBN 4-8284-1005-8。
『日本の子どもを幸福にする23の提言 Look forward !』 小学館、2003年5月。ISBN 4-09-348371-X。
『「バカになれる男」が勝つ!』 三笠書房、2004年1月。ISBN 4-8379-7379-5。
『負けてたまるか! 青色発光ダイオード開発者の言い分』 朝日新聞出版、2004年3月。ISBN 4-02-259848-4。
『成果を生み出す非常識な仕事術』 メディアファクトリー、2004年5月。ISBN 4-8401-1083-2。
『大好きなことを「仕事」にしよう』 ワニブックス、2004年8月5日 初版。ISBN 4-8470-1550-9。
『ごめん! 青色LED開発者最後の独白』 ダイヤモンド社、2005年7月。ISBN 4-478-70327-2。

共著
(西沢潤一との共著)『赤の発見 青の発見』 白日社、2001年5月。ISBN 4-89173-102-8。
(升永英俊との共著)『真相・中村裁判』 日経BP、2002年11月。ISBN 4-8222-0592-4。
(城戸淳二との共著)『「突然変異」を生み出せ!』 日本実業出版社、2003年11月。ISBN 4-534-03664-7。




中村修二さんの日本特許
 平成の初期および昭和の特許は含んでいない
 2001年2月時点で出願特許件数500件、登録特許128件とある
 新しいところにカリフォルニア大学からの出願がある

 公開特許一覧 登録特許一覧  いずれも2014年7月30日現在

海外出願特許(含む日本特許)
 日亜化学から出願のもの(457件) カリフォルニア大学から出願のもの(450件)




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
生活に役に立たない理論物理から社会に役立つ物理へとノーベル賞は変わっているようですね。
匿名
2014/10/08 09:02
匿名様

アルフレッド・ノーベル(Wikipedia)によると、
 遺言状には、物理学における発明・発見、化学における発見・改良に賞を与えると記されていた。つまり工学的貢献も念頭にあったと見られるが、科学と工学の区別については何も記されていなかった。ノーベルが選考者に指定した組織は科学寄りだったため、それらの賞は工学者や発明家ではなく科学者に与えられるようになった。
畑啓之
2014/10/09 06:19

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