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zoom RSS 使用済み国際宇宙ステーションを利用して軌道エレベータ建設は可能か?

<<   作成日時 : 2015/02/27 21:59   >>

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本日は国際宇宙ステーション(ISS)に寿命が来ているという話と、近い将来に軌道エレベータ(宇宙エレベータ)が期待され、一般人でも安価に宇宙に行くことができる、という話が目に飛び込んできた。

ISSは質量420トン、109m×73m(高さは不明)と巨大構築物である。これを宇宙空間から取り除く方法について議論がなされ始めているようである。

スペースデブリ問題というのがある。宇宙ゴミである。ロケットや衛星そのもの、あるいはその破片が宇宙に漂っている。大きいものから小さいものまで、またその飛び交っている高度も速度もいろいろである。その詳細はこちらに記されている。この資料の中には広い宇宙空間であるにもかかわらず、2009年にIridium33とCosmos2251という衛星同士の衝突も起こり、新たにスペースデブリが生み出されたことも記されている。

宇宙空間で衛星が破壊されると、そこから多くのデブリが生じ、この生じたデブリがまた別の衛星にぶつかるという悪循環を繰り返す。従って、運用の終わったISSは、デブリ化を防ぐためにも、宇宙空間から取り除く必要性が生じてくる。


一方、軌道エレベータは、高度3万6000kmの静止衛星より蜘蛛の糸を地上に垂らすことにより建設が始まる。まずは細い糸を地上にまで導き、その糸をたどって材料を持ち上げ、次第にこの糸を太くしていく。明石大橋が建設された時に、最初はヘリコプターを使って細いロープを対岸まで到達させ、その端に結びつけたすこし太めのワイヤーを対岸から順次引き寄せることにより、最終的には太いワイヤーとした。これに似ている。


ISSと軌道エレベータを結びつけると次のようなシナリオが出来上がるのだが、可能だろうか。


1.使用済みのISSは糸巻きとして利用する。ISSまで運んだロケット推進システムによりISSを静止軌道にまで高める。

2.このISSより細いカーボンケーブルを地上まで垂らす。このとき、ISSから上方へもカーボンケーブルを放出し、重力のバランスをとる。

3.地上に到達したカーボンケーブルを伝って材料を引き上げ、カーボンケーブルを次第に太く強固なものとしていく。また、ISSも静止軌道より次第に高い軌道に移動させて重力のバランスをとる。

4.カーボンケーブルを伝って材料を持ち上げ、居住用スペースを建設する。同時に、ISS本体は分解してケーブルを伝って地上へと下ろす。

5.かくして、軌道エレベータとISSの廃棄問題はともに成就する。


ここで少し蛇足ながらスペースデブリに関する考察をする。

赤道上からカーボンワイヤーが宇宙居住用スペースまで伸びている。そのカーボンワイヤーは常にスペースデブリスとの衝突の危険にさらされる。また、貴重な衛星もカーボンワイヤーに触れて破損する可能性もある。上で示したように、衛星同士が衝突する宇宙である。

いま、ISS並の衛星(幅100m)が高度400kmの軌道を回っているとする。地球中心からの距離を考慮すると、この高度での一周は42512kmとなる。衛星は90分でこの軌道を一周する。

もし、衛星が赤道上を回っているとすると、衛星は間違いなく軌道エレベータの蜘蛛の糸に引っかかる。その時どうなるか? 想像ができない。自然界では蜘蛛の糸にクマゼミが引っかかった時には蜘蛛の勝ちである。

衛星が南極と北極を経由する軌道を回っていた時には? この場合は、地球の公転につれて次第に軌道が移っていき、一年で赤道上を一周することになる(正確には上空を二回通過する)。16周/日×365日/年×2×衛星の大きさ10mで年に赤道を1168km幅侵食することになる。赤道上の軌道一周は42512kmであるから、確率的には36.4年で蜘蛛の糸に触れることになる。ISSであれば軌道と赤道との傾斜角51.6°であるから、その確率はもう少し高くなり、28.5年となる。

Wikipediaにはこの衝突を配慮して、地上基地は移動可能にしておくべきとある。ISSでもスペースデブリが近づくとその高度を変化させているのが実態であるが、さて、地上基地の位置を少し変化させただけで、数百km先の蜘蛛の糸をうまく時間内にコントロールできるかははなはだ疑問である。なにせ、衛星同士(大きくても10m?)が点で衝突するのである。蜘蛛の糸は線である。その衝突確率は考えただけでも数千倍は高いものとなる。




withnews 2月27日

史上最大の宇宙建築物 ISS廃棄、どうする? 迫る寿命あと5年

 史上最大の宇宙建築物である国際宇宙ステーション(ISS)、実はあと5年の寿命です。どこに、どうやって落下させるのか。今から、議論が始まっています。

使用期限は2020年まで
大きさ、サッカーのピッチくらい
地球圏外への移動は不可能
バラバラになって落下か
「ミール」では大騒ぎ


日本経済新聞 2月27日

軌道エレベーター(宇宙エレベーター) 書籍紹介

画像




軌道エレベータ(Wikipedia)

宇宙空間への進出手段として構想されている。カーボンナノチューブの発見後、現状の技術レベルでも手の届きそうな範囲にあるため、実現に向けた研究プロジェクトが日本やアメリカで始まっている。

ケーブルの振動や熱による伸縮への対策、低軌道の人工衛星や大きなスペースデブリとの衝突の回避などのために、アース・ポートは地上に固定するのではなく海上を移動可能なメガフロートとすることが望ましい。




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コメント(6件)

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宇宙エレベーターは、コンクリート橋桁を橋脚の両側に延ばす工法「張り出し架設工法:http://www.psmic.co.jp/gijyutu/civil_eng/pdf/01_jyobu4.pdf」を思い出させます。

参考:
株式会社ピ−エス三菱
http://www.psmic.co.jp/gijyutu/civil_eng/01.html


記事では触れられていないけれど疑問があります。

2.このISSより細いカーボンケーブルを地上まで垂らす。このとき、ISSから上方へもカーボンケーブルを放出し、重力のバランスをとる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
★ この「重力のバランスをとる」は、宇宙エレベーターを組み立てる時にはISSには既に地球の反対方向にも地球から引き上げる重量と同じダミーウエイトを送り込んでいなければならないことになります。

これでは堂々巡りですね。
匿名
2015/02/28 07:14
匿名様

静止軌道高さが重力と遠心力のバランス点ですね。それよりも高く(遠く)に位置すれば引き上げる力が強くなります。高度を上げて、地球の自転周期に速度を合わせる操作をすれば地上からISSへと資材を持ち上げることができます。エレベータが完成の暁には、地上とステーション間に張力が生まれ、このピンと張ったワイヤー上を電動エレベータが往復することになりますエレベータの積載重量はこの張力と地上におけるエレベータ+積載物の荷重により決まってくることになります。荷重を増やしたいのであれば、ステーションを静止軌道距離よりもより遠くに置くことになるでしょう。
畑啓之
2015/02/28 08:14
エレベータの積載重量はこの張力と地上におけるエレベータ+積載物の荷重により決まってくることになります。荷重を増やしたいのであれば、ステーションを静止軌道距離よりもより遠くに置くことになるでしょう。
---------------------------
★ 問題点
1)エレベーター動力の電源に関してワイヤが長くなればなるほど導電体の電気損失(宇宙空間の低温を考慮しても)が大きくなります。

2)ワイヤーの重量(単位断面積当たり引っ張り比強度)が大きくなれば積載重量が小さくなり実用には適さないでしょうう。そのような細くて強い且つ軽いワイヤ材料が存在(製造)可能でしょうか? この条件はエレベーターそのものにも当てはまります。

3)ワイヤー(その重量や張力に耐える)を地球上で固定することが可能ですか? ワイヤー+エレベーター*積載物の(回転速度の2乗に比例する)遠心力を地球上で支えることが工学的に可能ですか?
匿名
2015/02/28 20:33
匿名様

まず私が軌道エレベータについて絶賛しているわけではないことを断りながら、

問題点(1)蓄電あるいは送電の方法論ですね。地上から、あるいはステーションに配した太陽光発電所からマイクロ波で電力を送ることも考えられるでしょう。

問題点(2)上の記事にもありますように、カーボンワイヤーが出現したことにより可能性が議論されるようになったようです。

問題点(3)地球の自転と同じ回転速度で回っているステーションについて、静止軌道より内側ならば引力が、外側ならば遠心力が勝ることになります。静止軌道からの距離により、おっしゃっておられる遠心力の大きさが決まってくるものと思います。

問題点(4)角速度によるねじれ
 これは私が思っている問題点ですが、ステーションは1回/日の回転をしています。このステーションをスタートするエレベータについても同じです。エレベータがステーションで持っていた角運動量は、このエレベータが地上に近づいた時にはどう評価されるでしょう。素直に考課してくれればよいのですが、垂直に降下するばあいには、ステーションにおける接線方向の運動量は保持されたままです。したがって、蜘蛛の糸に多少のたわみが出ることになります。これが問題となるかどうかです。

軌道エレベータを扱った書物にはなにか記載されているかもしれませんが、わたしはまだこの類の書物に目を通していません。
畑啓之
2015/02/28 23:51
大学入試センター試験 理科総合A
http://mainichi.jp/graph/edu/center/2015/rikaa/001.html

に左から6枚目まで宇宙エレベーターに関する問題がありました。

私はこれらの問題を読んでいません。


神奈川大学では「クライマー」と呼ばれる風船から垂らした紐を昇る器械の競技会に参加しているようです。

宇宙ロケットは高度が上がるに連れて燃料が消費され軽く(と同時に引力も小さく空気抵抗も小さく)ないますが宇宙エレベーターそのものは行動と共に軽くなることは無いので上昇に要する動力は上昇開始時と左程変わらない。

カーボンナノチューブどころか蜘蛛の糸が必要でしょう。
匿名
2015/03/01 10:41
匿名様

センター試験の問題は、重力の加速度gと遠心力の変化を考えなくてもよいくらいの地表近傍の話です。宇宙エレベータとは誇大表示ですね。

宇宙エレベータが上昇して行き、gが小さくなり遠心力が働くと、当然のことながらエレベータの質量は変わらないにしても、エレベータが地球に引き付けられる力、すなわち重量は小さくなります。したがって、上昇するにつれて上昇に要するエネルギーは小さくなります。
畑啓之
2015/03/01 18:40

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