「化学反応の関与する事故を中心に」 説明資料29 一酸化窒素の爆発事故

 一酸化窒素(NO)が液体状態あるいは固体状態で爆轟することは知られている。その知見を持ちながらアメリカの企業が一酸化窒素の蒸留を行っていた時に、スライド1に示した事故が発生した。蒸留の目的は窒素の同位体(窒素15)を分離することにあり、蒸留塔本体は爆発を予見して地下に埋設されていた。事故調査報告書 Explosion at Biochemical Facility がある。

 この事故から得られる知見は「液体一酸化窒素は高い確率で爆轟する」である、

 スライド2はアンモニア酸化で一酸化窒素を得る方法を示している。アンモニアを白金触媒上で酸化すると主生成物として一酸化窒素、副生成物として亜酸化窒素と二酸化窒素が生じ、その3者よりなる混合ガスが生成物として得られる。この混合ガスより純粋な一酸化窒素を得るには、蒸留による方法が効率的で工業的でもあるが、上で示したようにこのプロセスでは爆轟に至る可能性が極めて高い。

 そこで、工夫を加え、蒸留による純粋な一酸化窒素の取り出しを可能にした。そのポイントは、一酸化窒素は二酸化窒素と反応して三酸化二窒素(N2O3)となり、さらにNO+NO2とN2O3の間にはスライド2に示すように平衡関係があることを利用している。一酸化窒素と二酸化窒素の混合物(N2O3+N2O4)はMixed Oxide of Nitrogen(MON)と呼ばれ、ロケット酸化剤であり安定である。

 アンモニア酸化法で生じた不純物を含む一酸化窒素を二酸化窒素に吸収させて蒸留を行うと、まず初めに亜酸化窒素がガスとして留出し、ついで純度の高い一酸化窒素がガスとして留出する。得られる一酸化窒素の純度は99.99%以上、その回収率は90%以上である。スライド3にはこの発明特許を示した。


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 本ブログの記事は、私のホームページ「アルケミストの小部屋」に掲載の「化学反応の関与する事故を中心に」より抜粋したものです。
 下の(解説)では、94ページからなるPDF資料をその内容に従って37の部分に分け、各部分ごとに解説を加えています。
 本一連のブログではその解説の1~37を順次紹介することを目的としています。
 ホームページにおいては必要に応じて「説明資料」間でのリンク、あるいは外部記事(Web)とのリンクを張っていますが、このブログではその多くを省略しています。
 資料全体の詳細を確認したい場合には下に示した(解説)となります。

     ホームページ アルケミストの小部屋
     化学反応の関与する事故を中心に(PDF) 
     化学反応の関与する事故を中心に(解説)
     フェイスブック 畑 啓之


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