1年前の今日  浄化槽処理されたし尿排⽔は美しいとされるが、結構汚いのではないか?

1年前の今日  2019年7月15日


右に示した書籍からの引用ですが、

浄化槽には、し尿だけを処理する単独浄化槽と、台所やふろの水もし尿もまとめて処理する合弁浄化槽とがあります。
合弁浄化槽のほうがいろいろな水が混ざっているので、細菌が住みやすい環境になっています。そのため、合弁浄化槽のほうが単独浄化槽より有機物を分解するはたらきが強いといえます。

確かにこの図では、1人・1日あたりのBOD排出量は、単独処理浄化槽が32gに対して、合弁処理浄化槽では4gと圧倒的に合弁処理浄化槽が優れている、となっています。さらに、単独処理浄化槽においては、流入BOD13g/人・日に対して留出BODは5g/人・日とその除去率の低さにはビックリするばかりです。

合弁浄化槽のBODが5gとはどのような状況でしょうか。BODは生物学的酸素要求量で、合弁処理浄化槽の図にはその元データとして放流水BOD20mg/リットル以下と記されています。生物学的酸素要求量(BOD)はWikipediaでは次のように記されています。

生物化学的酸素要求量(Biochemical oxygen demand)は、生物化学的酸素消費量とも呼ばれる最も一般的な水質指標のひとつであり、主に略称のBODが使われている。水中の有機物などの量を、その酸化分解のために微生物が必要とする酸素の量で表したもので、特定の物質を示すものではない。単位は O mg/L または mg-O2/L だが、通常 mg/L と略される。一般に、BODの値が大きいほど、その水質は悪いと言える。
し尿処理施設フローシート(下図)が北薩広域行政事務組合のホームページに記されています。家庭におけるし尿処理では、この1次・2次までですね。下の図の、高度処理されない段階の処理水が自然界に流れ出ていることになります。



最後の高度処理工程(オゾン処理工程)はBOD処理でも取り切れなかった有機物成分を減少させる工程です。BODの測定では、微生物がエサとするものしか数値として現れてきません。たとえば、文献「オゾンによる水処理の特性(水質汚濁研究 Vol.13 No.12(1990) pp.8-12)には次のような記述があります。

水処理では、オゾン濃度10~20mg/リットルの気体が利用され、物質収支については水に注入するオゾン量と排出されるオゾン量の差からオゾン消費量が求められます。
BODの値は、オゾン処理の初期に一度低下するが、それ以上増加する場合が多い。これは活性汚泥による生物処理が十分終了した処理水中に残っている難分解性の有機物がオゾン酸化を受け、一部生物分解性の有機物が生じ、微生物の代謝成分となるためである。

この記述からすると、活性汚泥処理によりきれいになったと思っていた水の中には、微生物が消化しきれない有機化合物が多く存在し、その化合物はBOD値としてはカウントされなかった。ところが、オゾンにより部分的に分解が進むと、その分解生成物の一部は再び微生物が分解できる化合物となり、COD値としてカウントされる、ということです。
活性汚泥層を通したから、その排出される水はきれいだ。その証拠に、その水の中でコイや金魚が気持ちよさそうに泳いでいる。このようなディスプレーを見かけることがありますが、「清水魚住まず」の言葉にもあるように、魚類はある程度の汚染には強いものでしょう。

私を一番震撼させたのは次のデータです。

水道水、河川水、下水二次処理水、し尿処理水にオゾンを連続的に通気したときの水中の溶存濃度を測定したものです。水道水ではごく短い時間で溶存オゾン濃度は約1mg/リットルと一定値に達していますが、し尿二次水では処理水中にオゾンが認められるまでに時間を要し、さらに、そのオゾン濃度は時間が経過しても約0.5mg/リットル止まりとなっています。これは、含まれる有機化合物がオゾンにより分解され続け、その分解生成物もオゾンと反応している(オゾンを消費している)ことを示しています。きれいに見える、浄化槽からの排水中には微生物では処理しきれない多くの有機化合物が存在している、ということです。




図表入りの記事はこちらにあります。
http://www.alchemist.jp/Blog/190715.pdf

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