「爆轟で飛ぶロケット」 究極の爆発力をロケット推進に利用しようとするその発想が面白い

ロケットエンジンは一般的には燃料と酸化剤を燃焼室で安定して反応させ、その時に生じるガスと熱を一定方向に噴射することにより推力を得る装置です。もう少し正確に表現すると、燃焼で発生した熱のエネルギーを、同時に発生した反応ガスを介して運動エネルギー(推力)へと変換する仕組み、あるいは装置です。

従来の認識ではロケットエンジンに求められるものは「安定した燃焼」です。これが爆発となると「ロケットエンジンの破壊」がイメージされ、それよりも爆発力の強烈な爆轟ともなると、ロケットエンジンと結び付けられるものではありません。

このいわゆる非常識を、ロケットエンジンに利用し、エンジンの構造を簡単に、しかも燃料効率を高めることに挑戦しているのがこのパルス・デトネーション・ロケットエンジンです。デトネーションは日本語では爆轟です。

日本経済新聞の記事に触発され、若干の文献調べを行いました。パルスデトネーションエンジンのパルスは「間欠」を意味しますので、このエンジンでは加速度が「間欠的に」与えられることになります。ペイロード(人工衛星や宇宙飛行士)に対しての影響が懸念されますが、そのデータや記述を得るには至っていません。

※ パルス:パルス(Pulse)は、短時間に急峻な変化をする信号の総称。また、脈動の意。
        プルス(Pulse)と読めば心臓からの脈動、すなわち脈拍となります。



名古屋大学 推進エネルギーシステム工学研究グループ
2013年にはデトネーションエンジンでの初飛行に成功していた。燃料は、エチレン+酸素。
このホームページに研究室紹介とデトネーションエンジンの開発の歴史が掲載されている
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名古屋大学 笠原次郎教授の論文

パルスデトネーションエンジン研究とその現状(2007年)

この論文によると、パルスデトネーションロケットの比推力( Specific Impulse (sec) )は450~650秒付近である。比推力(Wikipedia)によると、通常の固体ロケット燃料の比推力が200~300秒、液体ロケット燃料の比推力が300~460秒となっている。比推力とは、「単位質量の推進剤で単位推力を発生させ続けられる秒数」
となり、これは例えば「地球の地表の場合であれば、1トンの燃料を燃やすことで1トンの物を、その重量に抗して空中に支えるだけの垂直推力を維持できる秒数」といえるWikipedia)。



日本経済新聞 2016年12月19日
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パルス・デトネーション・エンジン(Wikipedia)

爆轟とは何なのか



デトネーションを利用した新しい内燃機関(広島大学)
エンジン壁面の温度と圧力のかかり方が軽減されている
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デトネーションエンジンで特許探索し、ヒットしたもの

特表2015-522465 デトネーションエンジンを備える軌道離脱装置を装備した宇宙船(エネクマ)
特開2009-114998 パルスデトネーションエンジン(PDエアロスペース)
公開特許の1ページ目  「デトネーションエンジン」が特許名にあるもの

エネクマ特許にあるデトネーションエンジンの図
円柱構造とシンプルである。現状のロケットエンジンであると高温高圧ガスは一旦絞り(スロート)を通り、その先でガス流を一定方向に高速で流れるようにしている

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PDエアロスペース株式会社

大気圏は大気より取り入れた酸素によりデトネーションを起こさせ、成層圏より上ではロケット推力を利用する
宇宙船と宇宙飛行の構想が図示されています

そのデトネーションエンジン

特許に記載されているデトネーションエンジンの図です
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(その他、興味を持った情報) 宇宙活動法

日本経済新聞 2016年12月23日

 「宇宙活動法」 ビジネス促す ロケット打ち上げ 企業参入可能に

 日本の宇宙産業の歴史に変革が起きようとしている。宇宙ベンチャーがぞくぞくと立ち上がるのに続いて、キヤノンがロケット事業へ参入。KDDIやANAホールディングスも宇宙ベンチャーに出資と、大企業や他業種にまで参入の波が広がり始めた。背景にあるのは、民間の参画の有り方を決める「宇宙活動法」など関連2法案の成立だ。長年かかってようやく成立した同法には、宇宙産業の拡大を目指す日本ならではの配慮が垣間見える。


民間宇宙開発促す宇宙活動法など2法が成立(Science Portal) 2016年11月10日

 欧米の先例を見本として日本も国際的な宇宙ビジネスの拡大を目指す「宇宙活動法」と商業衛星による画像の利用や管理を規制する「衛星リモートセンシング法」の2つの法律が9日成立した。政府は2法を施行し、宇宙ビジネスの環境を整備し、ベンチャー企業の参入を促す。


民間事業者の宇宙活動の進展に向けて ― 宇宙関連2法案 ―
 内閣委員会調査室 2016年10月




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